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秘湯めぐりの峠越え(43)倶知安峠編(北海道)

 (『アウトライダー』1996年12月号 所収)

 出発点の小樽は、知られざる温泉町。ここの銭湯の大半は温泉なのだ。で、小樽市内温泉を第1湯目とし、R5で倶知安へ。

 余市ではフゴッペ川温泉、はまなす温泉、鶴亀温泉と3湯連続で入ったので、フラフラになる。足腰がフニャフニャ状態‥‥。

 余市からは積丹半島北側の積丹温泉まで行った。
 余市に戻ると、R5で共和へ。そこから積丹半島南側の珊内温泉まで行った。
 最後にR5の倶知安峠を越え、峠下の倶知安からは、蝦夷富士の羊蹄山を一周した。

赤井川カルデラの赤井川温泉
 R5で余市の町並みを走り抜け、倶知安方向にわずかに走ったところで、国道を左折し、赤井川村に寄り道をする。なぜ、その気になったかというと、そこには赤井川温泉があるからだ。温泉があるというだけで、ギュッと胸をつかまれ、引きつけられてしまう。

 目の前に横たわるゆるやかな山並みに向かって、スズキDJEBEL250XCを走らせる。余市町から仁木町に入り、冷水峠に向かって登っていく。
 仁木町と赤井川村の境の冷水峠には、アリスファームがあった。
「おー、ここにあるのか!」

 アリスファームといえば、藤門弘さんが奥さんの宇土巻子さんと一緒に、飛騨から北海道に場所を移してつくった農場。以前、本で読んだことがある。宿泊も可能なようなので、また、いつの日か、来よう。

 アリスファームはひとまずおいて、冷水峠に立ったときはうれしかった。
 前回の朝里峠にひきつづいて、この冷水峠は、ぼくにとっては初めての峠だからだ。
 日本中の峠をオートバイで越えようと、峠越えをはじめてからすでに20年以上たっている。そのため、初めての峠には、なかなか出会えなくなっている。
 朝里峠が1184峠目、この冷水峠が1185峠目になる。

 冷水峠を越えて入った赤井川村は、なにか、別世界に飛び込んだような気分を味わえるところで、すごくよかった。後志火山群の赤井川カルデラ全体が、赤井川村になっている。
 カルデラの盆地内を流れる川が赤井川。

 余市川の支流になる川だが、アイヌ語の「フレベツ」(赤い川)に由来するという。
 村の中心近くにある「赤井川村保養センター」の湯につかりながら、
「やっぱり、温泉だねー!」
 と、しみじみとそう実感する。

 ぼくは日本の温泉、全湯に入るのを大きな目標にしているが、全湯制覇というのは、地図上で温泉を探し、その温泉に入ることによって、今まで自分の視野になかった土地に行けることを意味する。温泉めぐりは日本を見る、日本を知るすごくいい方法なのである。

R5の稲穂峠と倶知安峠
 小樽からR5で倶知安に向かうと、最初に越える峠が稲穂峠だ。R5は稲穂トンネルで峠を抜けている。
 この稲穂峠というのは北海道に多い峠名。
 美利河温泉のあるR230の美利河峠も、もともとは稲穂峠といわれていた。
 道南の道道9号の木古内と上ノ国の町境の峠も稲穂峠。

 これら稲穂峠の稲穂とは、アイヌ語の「イナウ」(木幣)に由来しているという。
 内地の地蔵峠や観音峠、枝折峠などを連想させる話だが、アイヌの人たちも、峠に幣をまつるようなことがあったのだろうか‥‥。「イナウ」に、稲穂の字を当てたところに、北海道人の稲に対しての執着を感じる。

 大野平野(函館平野)が北海道の稲作発祥の地で、元禄年間(1688~1704)に水稲栽培がおこなわれた記録が残っているが、北海道での稲作が本格化するのは明治になってからのことだ。
 それ以降というもの、稲作地帯はまたたくまに石狩から空知、上川へと北に延びていった。今では北海道は、日本最大の米の生産地帯になっている。

 一度、北海道ではどこまで稲を栽培しているのか、函館から稚内まで走って沿線を見たことがある。
 驚いてしまったのだが、旭川からR40で塩狩峠を越え、名寄を過ぎ、美深町の紋穂内まで稲田を見た。亜熱帯の作物を亜寒帯の地でつくっているのだ。
 このような北海道人の稲に対する思いをぼくは稲穂峠の峠名に感じるのである。

 稲穂峠のトンネルを抜け、峠を下っていくと、正面にはニセコの山々が見えてくる。
 峠下のR276との分岐を過ぎると、今度は、倶知安峠へのゆるやかな登りだ。
 その途中、JR函館本線の小沢駅を過ぎたところにワイス温泉がある。
 ニセコ連峰の名峰ワイスホルン(1046m)山麓の温泉なので、その名があるという。いい温泉だ。一軒宿「ワイス荘」の大浴場に入ったのだが、湯量がきわめて豊富。湯船につかると、ザーっと音をたてて湯があふれ出た。

 極楽気分で倶知安峠を越えると、真正面に蝦夷富士の羊蹄山が見えてくる。
 それは感動的な眺め。
 蝦夷富士は北海道一の名山だ。

■コラム■倶知安峠
 R5の倶知安峠を小樽方向から越えると、スーッとそそりたつ蝦夷富士の羊蹄山を真正面に眺めながら、倶知安盆地に下っていく。

 この倶知安盆地は、倶知安町、京極町、喜茂別町、ニセコ町の4町と留寿都村、真狩村の2村にまたがる大盆地だが、その中央に羊蹄山がそびえているので、大盆地であることになかなか、気がつかない。

 倶知安峠を下ったところが倶知安の町で、倶知安盆地の中心地になっている。JR函館本線の倶知安駅へ。目当ては駅前名水だ。

“日本一の水”と誇らしげに書かれた倶知安駅前の水は、蝦夷富士の贈り物。長い年月をかけて地上に湧き出てくる湧き水なのだ。

 真夏だったこともあって、ゴクゴク飲んだが、腹わたにキューッとしみていく。自販機のドリンクなどは比べものにならない。ほんとうに、うまい水なのだ!

 倶知安級の駅前名水というと、R8に近いJR北陸本線の生地駅前、「清水の里」の水がある。これも立山連峰からの湧き水だ。

 倶知安駅前を出発点にして蝦夷富士を一周したが、おすすめポイントは京極町の“ふきだし公園”。蝦夷富士からの膨大な湧水が、まさに噴き出すかのように湧き出ている。

■「倶知安峠編」で入った温泉一覧
1、小樽市内温泉  小樽温泉オスパ(入浴料800円) 北海道小樽市築港   
フェリー埠頭のすぐ近くにある。カラオケの「ビッグエコー」を併設。12時~2時。

2、フゴッペ川温泉 天山楽(入浴料600円) 北海道余市町栄町   
R5から6キロほど山側に入ったところにある温泉旅館。重曹芒硝泉のやわらかな湯。

3、はまなす温泉  町営湯(入浴料600円) 北海道余市町栄町   
R5沿いの「日本海余市保養センター」。湯につかりながら日本海を眺める。塩分の濃い湯。

4、鶴亀温泉    鶴亀温泉(入浴料820円)  北海道余市町栄町   
R5沿いの日帰り入浴温泉。2つの湯船。黄土色と無色透明の湯。塩分はそれほどでもない。2階が食堂。

5、古平温泉    町営湯(入浴料500円)  北海道古平町新地町  
「日本海古平温泉センター」。9月1日にオープンしたばかり。古平町初の温泉。

6、積丹温泉    ホテルしゃこたん(入浴料500円)  北海道積丹町野塚
積丹岬の近くにある温泉ホテル。湯につかりながら日本海を眺める。積丹半島探訪の拠点に最適だ。

7、赤井川温泉   村営湯(入浴料400円)  北海道赤井川村赤井川 
「赤井川村構造改善センター」にある「赤井川村保養センター」の湯。内風呂と露天風呂。食堂あり。10時~21時。

8、盃温泉     もいわ荘(入浴料500円)  北海道泊村興志内村  
一晩泊まった温泉国民宿舎。奇岩巨岩怪石のつづく積丹半島西海岸に湧く海浜温泉。すぐ近くに茂岩海水浴場。

9、神恵内温泉   村営湯(入浴料400円)  北海道神恵内村大川  
「神恵内村リフレッシュプラザ・温泉998」の湯。積丹半島横断ルートの当丸峠への登り口にある。11時~21時。

10、神恵内温泉   村営湯(入浴料400円)  北海道神恵内村神恵内 
「神恵内村観光センター・竜神荘」の湯。「神恵内村青少年旅行村」内にある。13時~19時。

11、珊内温泉    村営湯(入浴料400円)  北海道神恵内村珊内  
「神恵内村珊内ぬくもり温泉」の湯。4月にオープンした温泉のニューフェイス。珊内から先のR229は11月1日に全線が開通する。

12、ワイス温泉   ワイス荘(入浴料300円)  北海道共和町ワイス  
倶知安峠下のR5沿いにある1軒宿の温泉。湯量豊富。ワイスはニセコ連峰のワイスホルンに由来している。

13、川上温泉    川上温泉(入浴料400円)  北海道京極町更進   
R276沿いにある1軒宿の温泉。羊蹄山を間近にながめる。羊蹄山の膨大な湧き水の「ふきだし公園」に近い。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

秘湯めぐりの峠越え(42)美笛峠

 (『アウトライダー』1996年11月号 所収)

 苫小牧を出発点にして、最初はR36沿線の千歳市や恵庭市の温泉をめぐった。このエリアには、黒湯の温泉が多い。

 次に舞台を支笏湖に移し、支笏湖温泉、丸駒温泉、伊藤温泉と湖畔の露天風呂に入った。丸駒温泉の露天風呂は絶景湯!

 支笏湖畔からはR276で美笛峠を越え、さらにR230で中山峠、道道1号で朝里峠を越えて小樽に出た。

キリマンジャロ温泉って、ナンダ!
 キリマンジャロ温泉の名前を聞いたときは、
「えー、ナンダ、ナンダ、それって?」
 と、猛烈に好奇心を刺激された。キリマンジャロといえば、標高5895メートルのアフリカ大陸の最高峰ではないか。

 北海道の地名には、アイヌ語に由来するものが多いので、アイヌ語にキリマンジャロ、もしくはそれに近い発音の言葉があるのかもしれない‥‥。

 もしかしたら、コーラ色の黒湯の温泉だということで、キリマンジャロ・コーヒーにちなんでの温泉名なのかもしれない‥‥。

 と、いろいろと想像をめぐらし、興味津々。日本に3000湯あまりある温泉のなかでは一番といっていいほどの珍しい、奇妙な、興味を引かれる温泉名なのである。

 スズキDJEBEL250XCを走らせ、R36で千歳から恵庭に向かっていくと、恵庭の市街地の手前、サッポロビールの工場が目印の交差点に、ドデカイ“キリマンジャロ温泉”の看板が建っている。

 ドデカイのは看板だけではない。その交差点を右折し、1キロほど走ると、天を突くような朱塗りの大鳥居が建っている。なんと、それがキリマンジャロ温泉の入口なのだ。大鳥居の額には、“篠筍貴神社”とある。

 キリマンジャロ温泉の園内に入ると、そこは、ふんだんに巨岩の庭石を配した、これまたドデカイ庭園。かなりの大池もある。その一角に“篠筍貴神社”がまつられていた。

 キリマンジャロ温泉は日帰り入浴の温泉施設。入浴料500円を払い、さっそく湯に入る。内風呂は無色透明の湯だが、2つある大露天風呂は、ともに濃く入れたキリマンジャロ・コーヒー色の湯。真夏の強い日差しを浴びながらコーヒー色の湯につかった。

 湯から上がると、フロントで話を聞く。篠筍貴は“ささき”と読むそうで、創業者の先代社長をまつる神社なのだという。キリマンジャロは、すべてが雄大にということで名づけられたという。いかにも北海道らしい話ではないか。創業は10年前だとのことだが、昔からここには、“美人湯”で知られる温泉があったという。

丸駒温泉の絶景湯
 支笏湖と洞爺湖といえば、道央を代表する“二大湖”。支笏洞爺国立公園は、この2つの湖を中心にしている。そのうち支笏湖のほうが、はるかに太古そのままといった自然を残している。原始の匂いをかげる湖なのだ。

 その支笏湖の北岸、恵庭岳(1320m)の山裾が湖に落ち込むところに、1軒宿の丸駒温泉がある。「丸駒温泉旅館」は大正4年の創業という歴史の古い温泉宿だ。
 大正の頃は、恵庭岳の山麓からは盛んに硫黄が採掘されていた。それを運搬する馬がケガしたときなどに、この地の温泉でいやしたことから丸駒温泉の名がついたという。

 ぼくが初めて丸駒温泉の湯に入ったのは、今から20年ほど前のこと。その当時は秘湯そのものといった感じで、道もダートだった。
「さすが、北海道!」
 といった、いかにも北海道らしい秘湯の温泉宿の風情に感激したものだ。

 丸駒温泉の湯には、その後も何度か入ったが、秘湯ブームも手伝って、行くたびに丸駒温泉旅館の建物は立派になっていった。今では秘湯の温泉宿の風情は薄れたが、それをとり巻く支笏湖の自然は昔も今も、そう、変わりはない。

 なつかしい気持ちもこめて、丸駒温泉の湯に入る。ここの露天風呂は最高だ!
 スコーンと抜けた青空。それは、夏というよりも秋を思わせるような透明感。空の色映して、よけいに青い支笏湖の湖面‥‥。

 湯にどっぷりとつかりながら、目の前に広がる支笏湖を眺める。対岸の、いかにも火山といった山容の、風不死山(1103m)と樽前山(1038m)を眺める。自分の体が北海道の大自然の中に溶け込んでいくかのような不思議な気分を味わう。

 丸駒温泉の露天風呂から眺めるこの風景はすごくいい。北海道ナンバーワンの絶景露天風呂といってもいいほどだ。温泉につかりながら絶景を堪能するというのは、この上もなく贅沢なことのように思えるのだった。

 最高にいい気分で丸駒温泉を後にし、さらにもう1湯、伊藤温泉の露天風呂にも入り、支笏湖畔からR276で美笛峠に向かった。


■コラム■美笛峠
 ぼくは美笛峠の峠名が好きだ。
“美笛”とは、なんともきれいな峠名ではないか。
 R276の美笛峠は千歳市と大滝村の境の峠だが、峠名は峠下の、支笏湖西岸の美笛からきている。

 湖岸には、美笛キャンプ場がある。
 美笛の“ビフエ”はアイヌ語で“小石原の流れ”を意味する言葉だそうで、美笛峠から支笏湖へと流れる美笛川をいっているのだろう。

 アイヌのみなさんにとっては、ビフエを勝手に美笛にされて腹のたつ話だが、それはおいて、ビフエに美笛の字を当てた感性のよさに感心してしまう。

 美笛峠を越える前に、ぜひとも、支笏湖を一周したらいい。
 恵庭岳の北側を通るが、そこでは神秘的なオコタンペ湖が見られる。また西岸には約7キロのダート区間があるが、ロードバイクでも走れるくらいの路面の状態。

 支笏湖側から美笛峠を越えると洞爺湖への道は2ルートある。峠下で左折するR453経由のルート、喜茂別で左折するR230経由のルート。ともにいいルートだが、長流川の渓流を眺め、途中で北湯沢温泉と蟠渓温泉に入れるR453経由のルートがよりおすすめだ。


■「美笛峠編」で入った温泉一覧
1、鶴ノ湯温泉 鶴ノ湯温泉旅館(入浴料400円) 北海道早来町北町
静かな環境の一軒宿の温泉。ハス池の庭園が見事。薄茶色の湯につかりながら、ハス池を見下ろす。

2、信田温泉 信田温泉旅館(入浴料310円) 北海道千歳市泉郷
JR千歳駅前からR337で14キロ。国道沿いにあるラジウム泉。かわいらしい湯船のこげ茶色の湯。

3、松原温泉 松原温泉旅館(入浴料400円) 北海道千歳市泉郷
コーラ色の湯。食塩泉と重曹泉の2つの湯船。やさしい宿のおかみさんにアイスクリームをもらった!

4、キリマンジャロ温泉 キリマンジャロ(入浴料500円) 北海道恵庭市戸磯
内風呂は無色透明の湯、露天風呂はコーヒー色の湯。泉質は植物性のモール泉。美人湯。10時~22時。

5、恵庭温泉 ヘルスセンター(入浴料400円) 北海道恵庭市恵南
「恵庭ヘルスセンター」の湯。内風呂と露天風呂があるが、湯の色はともに濃いコーラ色をしている。10時~22時。

6、支笏湖温泉 支笏湖北海ホテル(入浴料700円) 北海道千歳市支笏
支笏湖の東側にある湖畔最大の温泉地。「北海ホテル」には大浴場と露天風呂。ともに無色透明の湯。

7、丸駒温泉 丸駒温泉旅館(入浴料1000円) 北海道千歳市幌美内
支笏湖畔の1軒宿の温泉。大正4年の創業。湖に面した露天風呂が最高。対岸に樽前山を眺める。

8、伊藤温泉 伊藤温泉ホテル(入浴料700円) 北海道千歳市幌美内
支笏湖畔の1軒宿の温泉。丸駒温泉の手前で左に入る。湖岸の露天風呂。11月下旬~4月は冬期休業。

9、登川温泉 寿楽荘(入浴料300円) 北海道留寿都村泉川   
R230沿いの1軒宿の温泉。「寿楽荘」は高原の湯治宿といった風情。

10、豊平峡温泉 豊平峡温泉(入浴料1000円) 北海道札幌市南区定山渓
森林浴しながら入る大露天風呂がいい。入浴料&本場インド風カレーのセット料金(1500円)はお得。

11、定山渓温泉 定山渓白糸ホテル(入浴料500円) 北海道札幌市南区
定山渓R230沿いにある。豪華温泉ホテルの立ち並ぶ定山渓温泉の中にあって8500円の宿泊費は安い。

12、小金湯温泉 黄金湯温泉旅館(入浴料450円) 北海道札幌市南区小金湯
ここで1晩泊まった。昔ながらの湯治宿の風情がよく残っている。定山渓温泉から5キロ、札幌寄り。

13、朝里川温泉 湯鹿里荘(入浴料500円) 北海道小樽市朝里川温泉 
朝里川温泉の一番奥にある日帰り温泉入浴施設。10時~19時。近代的施設の「かんぽの宿」も入浴可。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

秘湯めぐりの峠越え(41)オロフレ峠編(北海道)

 (『アウトライダー』1996年10月号 所収)

 真夏の北海道にやって来た。
 暑い季節に熱い温泉の湯に入るのも、また、いいものだ。 
 ということで、前回までの道南編にひきつづいての道央編になる。
 その第1弾はオロフレ峠。長万部を出発点にし、苫小牧を終着点にして走った。

 まずは洞爺湖一周。
 湖畔には洞爺湖温泉、壮瞥温泉、洞爺観音温泉、洞爺村温泉とあるが、それら4湯をめぐりながら湖を一周した。

 そのあとで北海道屈指の名峠、オロフレ峠を越えた。峠下のカルルス温泉、新登別温泉、登別温泉の湯に入り、太平洋岸のR36に出た。

“お釜峠”を越えて洞爺湖温泉へ
 北海道ツーリングの目玉のひとつ、洞爺湖には、R36の虻田からR230で入っていった。道央道の虻田ICを過ぎ、右手にうっすらと噴煙を上げる有珠岳を眺めながら数キロも走ると、洞爺湖を足下に眺める展望台に出る。絶景だ!

 内浦湾(太平洋)から、ほんのわずかな距離を走っただけで、世界がガラリと変わってしまうのだ。それを見ることができるのが、ツーリングのおもしろさというもの。

 洞爺湖の湖畔には、洞爺湖温泉の温泉ホテルが立ち並び、湖の中央には中島が浮かんでいる。対岸の山並みの向こうには、“蝦夷富士”の羊蹄山がそびえている。目に染みる山々の緑の濃さ‥‥。脳裏に焼きつくような風景だ。

 絶景ポイントに立ち、そこからの風景を眺めるのは、ツーリングの楽しみ方の基本だが、この洞爺湖の展望台は、北海道でも有数の絶景ポイントといっていい。

 ところで、この洞爺湖は火山地形のカルデラ湖で、湖の中央に浮かぶ中島が中央火口丘になる。カルデラとはよくいったものだ。スペイン語の釜を意味するが、カルデラ湖といえば釜の底に水が溜まってできた湖、つまり“お釜湖”になる。

 洞爺湖の絶景ポイントの展望台というのは、釜の縁の外輪山の峠で、“お釜湖”に対して“お釜峠”ということになる。だが残念なことに、この“お釜峠”には名前がついていない。名無し峠なのだ。

“洞爺峠”ぐらいの名前をつけ、展望台も“洞爺峠展望台”にすれば、もっと多くの人たちが立ち止まり、そこからの眺望を目にするようになると思うのだが‥‥。

 名無し峠の“お釜峠”を下ると、洞爺湖畔の洞爺湖温泉。登別温泉と並ぶ北海道屈指の温泉だけあって、華やいだにぎわいが、温泉街に漂っている。

 町営湯がまだ開いていないので、湖岸に建ち並ぶデラックスな温泉ホテルのひとつ「洞爺観光ホテル」の湯に入り、リッチな気分を味わった。湯量の豊富な温泉。大浴場の無色透明な湯につかり、思いっきり、体を伸ばした。
 露天風呂の湯につかり、洞爺湖を眺めた。

オロフレ峠を越えてカルルス温泉へ
 さて、オロフレ峠だ。北海道の名峠なだけに、気合は十分!
 壮瞥町の久保内で、R453から道道洞爺湖登別線に入り、峠に向かって登っていく。台風が接近しているとのことで、天気は急速に崩れる。降り出した雨は、あっというまに土砂降りになる。

「クソッ!」
 と、腹立たしい気分になる。
 どうも、このオロフレ峠とは相性が悪い…。今までに何度か走ったが、雨に降られたり、濃霧に巻かれてまったく景色が見えなかったり‥‥で、今回もそうなのだ。

 音をたてて降りつづく雨の中、スズキDJEBEL250XCを走らせた。
 峠に近づくと、よけい激しい雨になり、強風が吹き荒れる。コーナーの路面に溜まった雨水にリアが滑り、ひやっとする。

 トンネルで峠を抜ける新道と分かれ、さらに3キロほど登ると、オロフレ峠に着く。晴れていれば、洞爺湖や羊蹄山、反対側に太平洋を望む展望抜群の峠なのだが、今日は暴風雨に見舞われ、眺望ゼロだ。

 オロフレ峠には峠の茶屋がある。ズブ濡れのぼくの格好を見て、茶屋のオバチャンは、「いいのよ、そのまま、入りなさい」
 と、やさしい言葉をかけてくれた。
 峠の茶屋でオロフレ峠名物の“あげいも”と“いも餅”を食べ、ホッと一息、つくことができた。

 標高940メートルのオロフレ峠は登別市と壮瞥町の境の峠だが、ぼくには頭に来ていることがひとつある。それは新道の完成と同時に、旧道の登別市側を閉鎖してしまったことだ。新道が完成し、峠が越えやすくなったのは喜ばしい限りだが、それとともに、旧道も残しておくべきだった。もちろんそれを維持する大変さはよくわかるが。

 道は文化の象徴だ。文化の幅の広さ、奥行きの深さといったものが、道には現れる。北海道有数の名峠、オロフレ峠は、峠道の半分を切り取られ、“行き止まり峠”になってしまったが、こういうのを文化の退廃という。

 新道でオロフレ峠を越え、峠下の、北海道の名湯、カルルス温泉の国民宿舎「オロフレ荘」の湯に入る。湯温の違う湯船が、全部で6つもある。そのうちのひとつは寝湯。こが気持ちいい。しばし、暴風雨の中の走行の辛さも忘れて湯につかるのだった。


■コラム■ 昭和新山
 洞爺湖畔からわずかな距離でしかない昭和新山は、きわめて行きやすいので、今までに何度か行っている。そして、そのたびに新たな感動を受ける。北海道ツーリングには、絶対に欠かせないポイントになっている。

 日本は世界でも有数の火山国。数えきれないほどの火山があるが、その中でも昭和新山は傑出したすごさだ。
「信じられないよー!」
 と、叫びたくなるほどのすごさなのである。

 昭和18年12月、突然、100ヘクタールもの田畑が地震をともなって50メートルも隆起した。地元の人たちは、さぞかしビックリしたことだろう。

 翌年の6月には大爆発し、その後も爆発を繰り返しながら高くなり、昭和20年9月には高さが400メートルを超えた。
 そこでやっと大規模な火山活動はおさまり、現在に至っている。

 今でも、赤く焼けただれた山肌のあちこちから噴煙を上げているが、それを見ていると、
「地球が生きている!」
 と、実感できる。

 昭和新山は、世界でもまれな、生きている地球を見ることのできる現場なのだ。
 目の前には昭和52年に大爆発した有珠山。このときの噴火では、洞爺湖温泉が大被害を受けた。
 昭和新山も有珠山も、那須火山帯に属する洞爺カルデラの外輪山上の火山である。


■「オロフレ峠編」で入った温泉一覧
1、洞爺湖温泉  洞爺観光ホテル(入浴料800円) 北海道虻田町洞爺湖温泉  
洞爺湖畔の温泉ホテル。リッチな気分で入れる湯。町営湯の「やすらぎの家」は10時~21時。

2、壮瞥温泉   湖畔荘(入浴料300円) 北海道壮瞥町壮瞥温泉町  
洞爺湖温泉に隣りあっている。洞爺湖が目の前。昭和新山に近い。1泊2食6000円からの温泉旅館。

3、洞爺観音温泉 昴の郷(入浴料700円) 北海道洞爺村川東     
スパ・ファーム「昴の郷」の八角堂に、大浴場と洞爺湖を見下ろす露天風呂。ログハウスの宿泊施設。

4、洞爺村温泉  いこいの家(入浴料340円) 北海道洞爺村洞爺町    
洞爺村の村営湯。洞爺湖を見下ろす高台にある。湯につかりながら洞爺湖を眺める。10時~21時。

5、伊達温泉   伊達温泉(入浴料340円) 北海道伊達市館山下町   
伊達の市街地から2キロ。R36のすぐ近くにある。ガラス張りの大浴場。1泊2食5000円と安い。

6、蟠渓温泉   ゆうかり(入浴料350円) 北海道壮瞥町蟠渓     
昔風の温泉宿。気持ちよくつかっていられる湯。長流川の河原には無料の露天風呂があるが、超熱い‥‥。

7、北湯沢温泉  北湯沢山荘(入浴料500円) 北海道大滝村北湯沢温泉  
長流川の渓流を眺め、せせらぎを聞きながら入る露天風呂がいい。混浴。北海道の自然を満喫できる温泉だ。

8、カルルス温泉 オロフレ荘(入浴料400円) 北海道登別市カルルス温泉 
全部で6つの湯船。それぞれに湯温が違う。カルルスはチェコの世界的名湯カルロビバリーに由来する。

9、新登別温泉  新登別温泉荘(入浴料400円) 北海道登別市上登別町   
温泉民宿。内風呂と露天風呂。豪雨の中、露天風呂に入った。白濁色の湯。湯量豊富。7、8月のみの営業。

10、登別温泉   さぎり湯(入浴料340円) 北海道登別市登別温泉町  
共同浴場のさぎり湯が目抜き通りに場所を移し、新しくなって4月にオープン。硫黄泉と明ばん泉の湯船。

11、虎杖浜温泉  虎杖浜温泉ホテル(入浴料600円) 北海道白老町虎杖浜
R36沿いにある温泉。目の前は太平洋の大海原。大浴場に露天風呂。サウナもある。一大温泉センターだ。

12、白老臨海温泉  赤富士荘(入浴料300円) 北海道白老町白老海岸    
R36沿いにある温泉民宿。やさしい宿の女将さん。

13、白老温泉   ホテルポロト(入浴料400円) 北海道白老町ポロト湖畔  
アイヌ民俗村のポロトコタンに隣りあっている。チョコレート色の湯。寄せ鍋のポロト鍋がここの名物。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

秘湯めぐりの峠越え(40)蕨岱峠編(北海道)

 (『アウトライダー』1996年9月号 所収)

 太平洋(内浦湾)側の長万部から、日本海側の寿都へ、その途中で越える峠が蕨岱(わらびたい)峠。JR函館本線の蕨岱駅が峠の真上にある。

 日本海側を走るR229から山中に入ったところには宮内温泉や千早川温泉の秘湯。
 北檜山からR230で美利河峠を越え、八雲からR277で雲石峠を越え、江差からはR227で中山峠を越えて函館に戻った。

 北海道ツーリングで道南というと、何とはなしに通り過ぎていくエリアになっているが、「道南あなどりがたし」で、どこをとっても、おもしろい!

北海道第一の泉質!
 蕨岱峠下(長万部側)のR5から数キロ、山中に入ったところに、1軒宿の二股ラジウム温泉がある。
 4月下旬だと、まだ、真冬同然の風景。宿の周辺は2メートル近い積雪だ。

 ここで1晩、泊まった。食堂で泊まり客全員と一緒に夕食を食べたあと、北海道でも第一といわれる泉質の湯に入る。
 長い階段を降りていった薄暗い内風呂には、4つの湯船がある。ひとつは熱めの湯で、もうひとつは温めの湯。あとの2つは冷泉だ。

 内風呂の湯でのぼせてくると、戸をあけ、外に出、露天風呂に入る。
 満天の星空。露天風呂には2つの湯船。熱めの湯と温めの湯。長湯を決め込み、温めの湯につかる。夜風が刺すような冷たさ。体はホカホカしているが、顔はひやっとしている。これが気持ちいいのだ。

 ときどき、キタキツネがまるで露天風呂を番しているかのように、顔をのぞかせる。
 露天風呂のまわりは、巨大な石灰華。温泉の成分のうち、カルシウム分がこびりつき、鍾乳洞のようになっている。

 2時間以上、湯につかったところで、部屋に戻る。地図を広げ、明日のコースを考え、「さー、寝ようか」 と、布団にもぐり込む。

 そのころから、体がかゆくなってきた。なんと、湿疹が出ているではないか。それも、中途半端なものではなく、体中が湿疹だらけなのだ。気持ち悪くなるほど。こんなのは、初めての経験だ。
「ひどい湯当たりだなあ‥‥」

 あまりのかゆみに我慢できずにかきむしると、湿疹は水泡状になる。体中が腫れてしまう。それでも、まだ、かゆい…。
 やっと、かゆみの嵐が過ぎ去り、眠ることができた。

 温泉効果でぐっすりと眠り、夜明けとともに、目がさめた。そのときの爽快感といったらない。
 ほんとうに不思議なのだが、体中に出た湿疹は跡形もなく消え去り、肌には体全体をタワシでこすったかのような気持ちよさだけが残った。

 すぐさま、湯に入りにいく。ぼくは、この寝起きの湯が好きなのだ。
 露天風呂では、二股ラジウム温泉によく湯治にくるという人と一緒になった。その人の話が興味深かった。

「ここの湯は、よく効くよ。北海道の温泉のなかでは一番だね。私はたいてい一週間から10日くらいの湯治をするのだけど、帰る目安は、体に湿疹が出るようになってからだね。湿疹が出ると、かゆくて仕方ないけれども、それは、湯が体に効いた証明。湿疹とともに体内の毒素が抜け出ていくんだ」

 あー、そうだったのか、と納得。
 昨夜の水泡状になった湿疹は、二股ラジウム温泉の湯の効き目のすごさを証明したようなもの。水泡とともに、体内に溜まった毒素が抜けていったのだ。
 温泉のメカニズムの奥深さをあらためて感じさせられた二股ラジウム温泉だ。

道南最後の見市温泉
 八雲からは、R277で雲石峠を越える。渡島半島を太平洋側の「渡島」と日本海側の「檜山」に分ける一連の峠のなかでは、一番の絶景峠だ。峠にスズキDJEBEL250XCを止め、しばし、峠からの眺望に酔いしれた。

 雲石峠を熊石側に下った峠下の温泉、見市温泉が、今回の「道南編」最後の温泉になる。
 見市温泉は山あいの1軒宿。熱めの湯の内風呂に入ったあと、露天風呂に入る。ここの露天風呂はいい。雪どけ水を集め、渦を巻いて流れる見市川を目の前に眺める。

 赤茶けた湯にどっぷりとつかりながら、感慨無量といった気分。
「とうとう、ここまで来てしまったのか」
 という寂しさを感じる。

 見市温泉は、函館に上陸してすぐに入った谷地頭温泉から数えて、第48湯目の温泉。
 そのほか函館の蓬莱温泉や江差町の五厘沢温泉のように廃業していて入れなかったり、今金町の奥美利河温泉のように冬期休業中で入れなかった温泉もある。

 北檜山と熊石間のR229沿いにある臼別温泉や貝取間温泉、平田内温泉のようにパスしたところもある。
「また、だな‥‥」
 と、思うのだ。
 また、北海道に来よう!!


■コラム■蕨岱峠
 蕨岱峠といっても、みなさんはそれがどこにある峠なのか、きっとわからないと思う。 それもそのはずで、R5の長万部町と黒松内町の境の名無し峠に、ぼくが勝手に名付けた峠名なのだ。

 でも、この峠は、きわめて重要なのである。
 この蕨岱峠を通る構造線(大断層線)は、太平洋(内浦湾)側の長万部から日本海(寿都湾)側の寿都にのびているが、この線で、北海道の本体と渡島半島が接合している。

 これから先、何千年か何万年か知らないが、北海道と渡島半島が別々になるときは、この線で分かれるはずだ。
 そのときは、長万部海峡ができ、この蕨岱峠は、長万部海峡に突き出た蕨岱岬になるかもしれない。

 悠久の時をおもちゃにして、そんなことを考えながら峠を越えるのは、すごくおもしろいものだった。
 蕨岱峠の真上にJR函館本線の蕨岱駅がある。峠の上が平坦なこともあって、ここには峠名がつかなかったのだろう。

 蕨岱峠周辺の山々は、日本のブナ自生の北限地。日本の自然を日本らしくしているもののひとつにブナ林があるが、北海道もここより北は、日本離れした土地ということになる。


■「蕨岱峠編」で入った温泉一覧
1、二股温泉   二股温泉(入浴料500円) 北海道長万部町大峯  
キタキツネが出迎えてくれる山間の1軒宿の温泉。北海道第一の泉質といわれる評判の湯。巨大な石灰華が見られる。

2、黒松内温泉  町営湯(入浴料100円) 北海道黒松内町黒松内 
95年8月オープンの町営湯。現在は仮設浴場で、清掃協力費の100円を料金箱に入れる。12時~20時。

3、寿都温泉   町営湯(入浴料500円) 北海道寿都町湯別町  
95年12月オープンの「ゆべつのゆ」。国道から1キロの近代的な建物。大浴場に露天風呂。10時~21時。

4、宮内温泉   宮内温泉(入浴料400円) 北海道島牧村泊    
R229から4キロほど入った山間の1軒宿の温泉。「宮内温泉旅館」には今度、泊まりで来よう!

5、千早川温泉  千早川温泉(入浴料400円) 北海道島牧村千早   
R229から6キロほど入った山間の1軒宿の温泉。赤茶けた湯の色。この奥には北海道の名瀑、賀老の滝がある。

6、栄浜温泉   温泉旅館(入浴料400円) 北海道島牧村栄浜   
国道沿いの「モッタ海岸温泉旅館」の湯に入った。熱めの湯。湯船から日本海を眺める。ここからは茂津多岬が近い。

7、ねとい温泉  ねとい温泉(400円 北海道北檜山町丹羽  
R230から2キロほど入った田園の1軒宿の温泉。湯がいい。肌にやわらか。湯上がりに応接間風休憩所で休める。

8、北檜山温泉  公営湯(入浴料500円) 北海道北檜山町徳島  
95年11月オープンの「温泉ホテル北檜山」。町がつくり第3セクターでの運営。入浴のみは11時~21時。

9、美利河温泉  公営湯(入浴料500円) 北海道今金町美利河  
90年12月にオープンした「クアプラザピリカ」。美利河ダムのピリカ湖近くにある。大浴場と露天風呂。

10、八雲温泉   町営湯(入浴料350円) 北海道八雲町鉛川   
R277から1キロほど入ったところに「おぼこレクリエーションセンター」。露天風呂あり。10時~20時。

11、見市温泉   見市温泉(入浴料400円) 北海道熊石町大谷   
R277の雲石峠を日本海側に下ったところにある山間の1軒宿の温泉。内風呂と露天風呂。赤茶けた熱めの湯。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

カソリ、逃げた???

せっかくチベットから戻ってきて新連載開始してくださったのですが、なんと「その10」でチベットに入境する手前でカソリが脱走?

どうやら、早くも次の「奥の細道紀行」に出てしまった模様・・・。
ガク。

ということで、管理人のせいではないのだ(笑)。
ま、帰ってくるまで待ちましょう・・・。チベットも凄かったようなので。

テーマ : 管理人より
ジャンル : その他

カソリ氏、チベットより帰還。

(以下、カソリメール)

昨夜、「チベット横断」から帰ってきました。
昨日(8月4日)はすさまじい行程で、
朝、8時に新疆ウイグル自治区のウルムチを出発し、
西安、ソウル経由で飛行し、
24時30分に伊勢原の我が家に到着しました。
「チベット横断」の原稿はできるだけ早く送るようにしますよ!

===========
管理人コメント:
いやいやいや、無事で何より。
チベット報告を期待しましょう!

テーマ : とりあえずまぁいろいろと・・・
ジャンル : その他

秘湯めぐりの峠越え(39)大沼峠編(北海道)

 (『アウトライダー』1996年9月号 所収)

 函館駅を出発点にし、北海道の幹線、R5を北へ。
 大野温泉の「せせらぎ温泉」に立ち寄ったあと、大沼峠を越え、東大沼温泉の国民宿舎「ユートピア大沼」に泊まった。

 翌日は、R5をさらに北へ、長万部へと走る。
 今まで、何気なく走り過ぎていたこのR5沿いにも、ちょっと脇に入ると、いい温泉が点々とあるのだ。

 国道を離れ、わずか数キロ走ると、あっというまに山中に入るが、そこにある上ノ湯温泉や桜野温泉といった秘湯は心に残るもの。
 秘湯めぐりの旅はやっぱり最高だと思うのだ。

自然度満点の東大沼温泉
 4月の下旬というと、北海道では、“まだ春遠し”といった季節。ツーリング・ライダーにはまったく出会わない。

 それだけに、食堂に入ったときとか、街道沿いで売りはじめたばかりの“ゆできび”を食べるときとか、町中でちょっと立ち止まったときに、
「バイクだと、まだ、寒いでしょー」
 といった、あたたかな声を何度も掛けられた。

 その声の中に、
「あー、やっと、北海道にも春が来たのだ」
 という、みなさんの喜びが読み取れた。
 ツーリング・ライダーの姿に春を感じたのだ。

 ぼくは、“春告鳥”のようなものだった。
 シーズン前に旅するのはいい方法だ。このような地元の人たちとのいい出会いがあるし、北海道を独り占めにしたような気分になれるし、第一、きわめて宿がとりやすい。

 ひと晩泊まった東大沼温泉の国民宿舎「ユートピア大沼」にしてもそうだ。ここは人気の温泉宿なので、シーズン中だと、かなり前から予約をしないとなかなか泊まれない。だがこの季節だと、函館駅前から電話したのだが、飛び込み同然で泊まれた。

 JR函館本線の大沼公園の駅前からまっすぐ行くと、大沼の湖畔に出る。
 湖畔にスズキDJEBEL250XCを止める。
 夕暮れの湖とその向こうにスーッとそそり立つ駒ヶ岳の姿が、強烈に目の底に焼きついた。

 北緯42度の標を過ぎ、北海道では知床の羅臼、富良野の鳥沼、美瑛のかしわ園などのキャンプ場と並ぶライダーのメッカ、東大沼キャンプ場の脇を通り、「ユートピア大沼」に着く。自然度満点の温泉国民宿舎だ。

 玄関口には“歓迎・賀曽利様”と書かれているではないか。ほかの泊まり客というと、年配の夫婦だけなので、国民宿舎とは思えないほどのサービスのよさだった。

 1階と2階に浴室がある。さっそく湯につかる。湯量が豊富。おまけに、泊まり客は、1日24時間、いつでも入れる湯なのだ。
 湯から上がると、部屋に食事が用意されていた。サケやホタテの刺し身、三平汁の鍋が美味。
これで1泊2食7200円なのだから、すごく得したような気分になった。

カルデラ内の濁川温泉
 森町の濁川温泉は不思議な世界だ。
 JR函館本線の森駅待合室で名物駅弁のいかめしを食べ、R5を北へ。内浦(噴火)湾の海を右手に眺めながら走る。

 八雲町の手前で国道を左に折れ、濁川温泉へ。すぐさま山中に入り、数キロも走ると、まわりを山々に囲まれた小盆地に出る。何か、別世界にポンとほうり込まれたような風景の変わりかただった。

 そこは、濁川カルデラ。いわば、ミニ阿蘇のようなところなのだ。まわりの山々が外輪山ということになる。
「知らなかったなあ、こういう世界があるなんて‥‥」
 R5をそのまま走っていたら、見えない世界なのだ。

 このカルデラ内に、濁川温泉の数軒の温泉宿がポツン、ポツンと点在している。地熱発電所があるくらいだから、相当の地下エネルギーなのだろう。

 濁川温泉は、温泉としての歴史も古く、寛政10年(1798)に発見され、明治42年には温泉宿が開業したという。 

 水田の広がるカルデラ内を行くと、一番奥に、今年の1月31日にオープンした温泉施設「ふれあいの里-カルデラ濁川温泉保養センター」がある。
 ここでは入浴と食事ができる。

 2つの内風呂と大露天風呂。内風呂には岩風呂と檜風呂があり、檜風呂の木の香りと感触がなんともいえない。形のよい大岩で囲まれた大露天風呂もすばらしいものだ。白濁色の湯。若干の塩分。天気は快晴。抜けるような青空を見上げながら湯につかる気分は、また格別なものだった。

 ここでは、札幌から車で来たという年配の人と一緒になった。
「バイクだと、まだ、寒いでしょー」
 その人は大の温泉好き。車で北海道のみならず本州や九州の温泉もめぐっている。

 戦前には稚内から連絡船で樺太に渡り、旧日本領とロシア領の境、北緯50度線近くの温泉にも入ったという。
“湯の中談義”でそんな話を聞くと、体がカーッと熱くなってくる。
 サハリンの温泉に入りたい!
 国後・択捉の温泉にも入ってみたい!
 と、心底、そう思うのだった。

■コラム■大沼峠
 函館からR5を北に行き、隣り町の七飯町に入ると、前方に立ちふさがる山々に向かって走る。右手には火山の横津岳。大沼峠を登り、峠のトンネルを抜ける。
 すると、どうだろう、風景が劇的に変わる。

 目の前に小沼が広がり、その向こうには、スーッと裾野を延ばした駒ヶ岳がそそり立っている。雪化粧したその姿は神々しいほどだった。
 それはR300で下部側から中ノ倉峠(本栖峠)を越えるときとそっくりだ。

 峠のトンネルを抜け出ると、足元には本栖湖が広がり、その向こうにはドーンと、富士山がそびえている。そんな風景が目に飛び込んでくる。

 このような峠を境にしての、ドラマチックな変化を目の当たりにすると、
「峠越えって、やっぱり、最高だねー!」
 と思ってしまう。

 ところで、このR5の大沼峠は、こんなにいい峠なのに、なんと名前がついていないのだ。峠のトンネルが全長747メートルの大沼トンネルであり、函館から峠を越えると、そこは大沼国定公園なので大沼峠とした。

 だが、“峠のカソリ”としては、何としても、峠名が欲しい。
 地元と道路管理者あたりで相談して、ぜひとも峠名をつけて下さいよ。

「大沼峠編」で入った温泉一覧
1、大野温泉   町営湯(入浴料300円) 北海道大野町本町   
町営湯の「せせらぎ温泉」。93年1月のオープン。町役場近くにある日帰り入浴の温泉施設。10時~21時。

2、東大沼温泉  国民宿舎(入浴料300円) 北海道七飯町東大沼  
七飯町の町営国民宿舎「ユートピア大沼」。豊富な湯量が自慢。テニスコートあり。入浴のみは8時~20時。

3、山水温泉   山水温泉(入浴料500円) 北海道七飯町大沼町  小沼の湖畔にある静かな温泉旅館。11月上旬から4月下旬までは冬期休業。

4、駒ヶ峯温泉  町営湯(入浴料400円) 北海道森町駒ヶ岳   
95年6月オープンの町営湯「ちゃっぷ林館」。R5から2キロほど入る。バックに駒ヶ岳。10時~21時。

5、ワールド牧場温泉 牧場の湯(入浴料500円) 北海道森町駒ヶ岳   
ワールド牧場内にある温泉。入浴のみのときは入浴料だけを払えばよい。駒ヶ岳を正面に眺める露天風呂。

6、砂原温泉   内浦荘(入浴料500円) 北海道砂原町押出   
森駅から4、5キロ、R278の旧道沿いにある1軒宿の温泉。目の前は内浦湾。入浴のみは11時~22時。

7、濁川温泉   温泉施設(入浴料500円) 北海道森町濁川    
96年1月オープンの民営温泉施設「ふれあいの里 カルデラ濁川温泉保養センター」。入浴は10時~21時。

8、上ノ湯温泉  銀婚湯(入浴料500円) 北海道八雲町上ノ湯  
R5から10キロほど山中に入った渓流沿いの温泉宿。ここの大浴場は最高。桜と紅葉。なお下ノ湯に温泉はない。

9、桜野温泉   熊嶺荘(入浴料500円) 北海道八雲町桜野   
R5から12キロ、山中に入った1軒宿の温泉。道南の秘湯。温泉の成分が洗い場のタイルに厚くこびりついている。

10、浜松温泉  ホテル光洲(入浴料400円) 北海道八雲町浜松   
R5沿いにあるビジネス風温泉ホテル。レストランでの食事も可。入浴のみは7時~21時。立寄りの湯に最適。

11、長万部温泉  長万部温泉(入浴料340円) 北海道長万部町長万部 
長万部駅の裏手でR5からだとちょっと行きにくい。「長万部温泉ホテル」は番台のある公衆浴場を兼ねている。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

秘湯めぐりの峠越え(38)中山峠(北海道)

 (『アウトライダー』1996年8月号 所収)

 函館を出発点にした前回の「川汲峠編」では、亀田半島の10湯の温泉めぐりをしたあと函館に戻り、フェリー埠頭近くの上磯町七重浜温泉の「ホテル海王館」に泊まった。大浴場の湯につかりながら、函館山や函館湾を窓越しに眺めるなかなかの温泉だ。

 そして翌日、函館を出発点にし、R277で中山峠を越えて日本海側に出た。五厘沢温泉、乙部温泉に立ち寄り、江差からR278で松前半島をぐるりと回り、函館に戻った。函館は道南の旅の拠点には最適だ。

公共の温泉、続々と誕生!
 中山峠を越えた厚沢部町では、R277沿いに、「うずら温泉」の看板を目にした。
「えー、うずら温泉って、一体、何だー!?」
 スズキDJEBEL250XCのハンドルを握りながら、猛烈な興味をおぼえた。

「うずら温泉」とは、初めて聞く温泉名であるし、なんで「うずら」なのか、どうしても知りたかった。ウズラの肉や卵を使ったウズラ料理を名物にしているところかもしれないと思ったほど。以前、中山峠を越えたときにはなかった温泉。だいたい“温泉のカソリ”が知らない温泉があること自体、許せないような気分なのだ。

 中山峠を下り、山地から平地に降り立ったあたりが鶉の集落。
「あー、そうか!」
 納得。

 鶉で“うずら”と読む。
 鶉にできた新しい温泉が「うずら温泉」なのだということがわかった!
 国道から1キロほど入ると「うずら温泉」に着く。いかにも北海道らしいのびやかな田園地帯の中に、ポツンとある温泉。昨年の4月にオープンしたばかりの、洒落た白亜の建物だ。

 さっそく自動券売機で入浴券を買い、明るいガラス張りの浴場の湯につかる。湯から上がると、レストランで激辛のキムチラーメンを食べ、きれいな休憩室でゴロンと横になって昼寝した。最高の気持ち良さである。

「うずら温泉」は厚沢部町の町営湯。正式な名称は「農業活性化センター宿泊研修施設」で、宿泊も可。それも、1泊4200円(食事別)という安さだ。今度はぜひとも泊まりで来てみたい。

 道南では、「うずら温泉」のような公共の温泉が、続々と誕生している。
 前回の「川汲峠編」の戸井温泉「ふれあい湯遊館」(戸井町)は昨年4月のオープン、大船温泉「南茅部町民保養センター」(南茅部町)は昨年10月にオープンした。

 今回の「中山峠編」で立ち寄った「吉岡温泉ゆとらぎ館」(福島町)は昨年の12月オープンだし、「こもれび温泉・知内健康保養センター」(知内町)は、ちょうどオープンの、その日だった。

日本最北の城下町、松前の温泉
 松前は日本最北の城下町。慶長11年(1606)に松前氏が松前(福山)城を築き、蝦夷地を支配した。

 松前城を目の前にする温泉旅館「矢野」の湯に入る。入浴料600円。草色ががった湯の色。泉質は食塩泉。内風呂のほかに露天風呂がある。春いまだ遠し、といった感じの寒風を切り裂いてここまで走ってきたので、温泉のありがたさがひときわ身にしみた。

 温泉でさっぱりし、身を清めたところで、桜の名所、松前公園にある松前城を見学。城全体が資料館。目をひくのは「松前屏風」。色鮮やかな屏風絵が、当時の松前の繁栄ぶりをよく物語っている。船が港を埋めつくし、浜には北海の物産を運んできたアイヌ人たちの小屋が建ち並んでいる。

 江戸末期の嘉永2年(1849)、幕府は北方警備の拠点として、旧城を壊し新城を築かせた。東西240メートル、南北300メートル、16の門、7つの砲台、4つの櫓という日本最後の本格的築城の城だった。城内には慶応年間に撮影された写真が展示されているが、それを見ると、高台の上にそそりたつ松前城の威容ぶりがよく伝わってくる。

 その松前城も明治8年に取り壊しになり、残った天守閣と本丸御門が後に国宝に指定される。だが、惜しいことに昭和24年に燃え、国宝は解除。今の天守閣は昭和35年に再建された。

 つづいて郷土資料館を見学。ここは一見の価値がある。松前の歴史がよくわかる。大坂(大阪)と蝦夷地を結んだ北前船の模型が展示されている。この日本海航路の千石船が、上方の文化を蝦夷の地にもたらした。松前藩の交易をになったのは近江商人。商売の達人集団の近江商人は蝦夷の地まで進出した。

 松前の城下を散策したあと、松前温泉へ。R228を函館方向に行き、国道から1キロほど山中に入ったところに町営湯。北海道唯一の城下町、松前にふさわし瓦屋根の古風な造りの建物。食塩泉で、大浴場の湯は赤茶けた色をしている。受付のオバチャンは「この湯は皮膚病によく効くのよ。それと、根性の悪いひとにもよく効くの」と話してくれた。

■コラム■中山峠
 津軽海峡を渡って北海道に入ると、すべてが大陸的になるというか、スケールが大きくなる。峠もそうだ。いかにも北海道らしいのだ。

 本州内のちまちました、小刻みなコーナーが連続する峠道とは違い、ゆるいカーブの峠道がズドーンという感じで峠に向かって延びている。峠を越えると、また、一気に高速で峠道を下っていける。

 函館郊外の大野から越えるR277の中山峠もそうだ。スズキDJEBEL250XCのアクセルを開いたまま突っ走り、峠に向かって登っていく。

 中山峠は道南・渡島半島の脊梁山脈を越える峠。この峠を境に、天候が急変することがよくある。いままでに何度か越えたが、一番印象深いのは晩秋の峠越えだ。

 函館は快晴で無風だった。それが中山峠を越えると、日本海側から猛烈な勢いで黒雲が押し寄せ、ザーっと雨が降る。すぐに日が差し、また雨が降る。そんな時雨模様だった。日本海は北西の季節風にあおられ、牙をむいて波立っていた。

 北海道で中山峠といえば、R230の札幌近郊の中山峠がよく知られているが、日本各地に見られる峠名である。
 
「中山峠編」で入った温泉一覧
1、七重浜温泉  ホテル海王館(入浴料1500円) 北海道上磯町七重浜  
「スパビーチ」と一体になった温泉ホテル。ここでひと晩泊まったが、ボリュームたっぷりの朝食つきで6330円。

2、うずら温泉  町営湯(入浴料400円) 北海道厚沢部町鶉町  
正式な名称は「うずら温泉・農業活性化センター宿泊研修施設」。95年4月のオープン。入浴は11時~21時。

3、蛾虫温泉   蛾虫温泉旅館(入浴料400円) 北海道厚沢部町上里  
R277から3、4キロ入った田園の1軒宿。大浴場と露天風呂。気分よく入れる。入浴は10時から。

4、乙部温泉   町営湯「憩の家」(入浴料330円) 北海道乙部町館浦   
茶色っぽい湯の色。お茶の飲める休憩所あり。13時~20時。隣りは温泉旅館の「共林荘」。

5、江差温泉   湯乃華(入浴料340円) 北海道江差町田沢町  
繁次郎浜に出来た日帰り温泉。内風呂と露天風呂。湯にぬめりがある。95年11月のオープン。12時~22時。

6、湯ノ岱温泉  町営湯(入浴料250円) 北海道上ノ国町湯ノ岱 
「上ノ国町国民温泉保養センター」。赤茶色の熱い湯とうす茶色の温めの湯。泡湯、打たせ湯。9時~21時。

7、松前温泉   町営湯(入浴料330円) 北海道松前町大沢   
明るい大浴場。石の湯船。塩分の濃い赤茶けた湯の色。大広間の休憩所にお茶が用意されている。11時~21時。

8、吉岡温泉   町営湯「ゆとらぎ館」(入浴料400円) 北海道福島町吉岡  
R278から300メートルほど山側に入る。95年12月のオープン。10時~21時

9、知内温泉   知内温泉(入浴料350円) 北海道知内町湯ノ里  
旧道沿いの「ユートピア和楽園」。開湯800年の歴史を誇る北海道最古の温泉。松前藩は、ここに湯守を置いた。

10、こもれび温泉 町営湯(入浴料400円) 北海道知内町元町   
「知内健康保養センター」。湯気がもうもうとたちこめる大浴場の隣りには温水プール。96年4月オープン。

11、木古内温泉  のとや(入浴料500円) 北海道木古内町大平  
国道沿いにある温泉施設。食堂併設。入浴は6時から22時まで。木古内にはもう1軒、山間の亀川温泉「枕木山荘」がある。             

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

カソリの島旅(11)父島(東京)

 (『ジパングツーリング』2001年8月号 所収)

 12時発の「ははじま丸」で母島から父島の二見港へ。
 前日とはうってかわって海は大荒れに荒れている。波が高い。「ははじま丸」は波をよけるためなのだろう、ジグザグに進んだ。

 このような大荒れの天気でも「ははじま丸」は、欠航しないのだ。台風の直撃でもくらわないかぎり、ほとんど欠航することはないという。

 14時30分に父島の二見港に着いたが、父島は激しい雨‥‥。港に近い大村の民宿「南国荘」に宿をとったあと、スコールのような雨をついて、反時計回りで父島を一周。34キロだ。

 二見港に戻ると、「小笠原ビジターセンター」(無料)を見学。アウトリカーのついたカヌーが展示されている。ぼくがこのアウトリカーつきの船を最初に見たのは東アフリカのインド洋岸の漁村だった。インドネシアの島々を東に進んだときも、バリ島の漁村で見た。それと同じものが小笠原にもある。アウトリカーつきの船を通して世界のつながりを見るのだった。

 ここでぼくの目を引いたのは、日本郵船の芝園丸(1934トン)の模型だ。この船は戦前、「東京-小笠原-硫黄島」間を8日で結んでいたという。

 翌日は夜明けとともに「南国荘」を出発。ひと晩、激しく降りつづいた雨は上がり、うれしいことに晴れている。

 まずは父島の最高峰、中央山に向かう。その途中で、朝日が太平洋の水平線上に昇る。中央山には徒歩10分ほどで登れる。山頂には戦時中の高射砲の台座が錆びついて残っている。山頂は開けた園地になっている。展望台に登り、父島を一望した。

 ここに立つ案内板で中央山が父島の最高峰でないことを知った。中央山は標高319メートル。ところがすぐ目の前に見える名無し山はそれよりも7メートル高いという。ちょっぴり残念。

 大村の民宿「南国荘」に戻り、朝食を食べたあと、前日と同じように父島を反時計回りで一周した。まずは海沿いの「海岸通り」を行く。境浦、扇浦ときれいなビーチを見ていく。次ぎに「小港道路」に入り、小港海岸へ。きれいなビーチを歩いたあと、遊歩道で中山峠を越え、ブタ海岸まで歩いた。中山峠は眼下に小港海岸を見下ろす“絶景峠”だ。最後に「夜明道路」を走り、二見港に戻った。

 MX50の手続きを終えたところで、大村をプラプラ歩く。その名も「島寿司」という店に入り、まずは冷えたビールで小笠原に「乾杯!」。そのあとで名物の「島寿司」を食べた。

 東京行きの「おがさわら丸」に乗る。14時、出港。何隻もの船が二見湾の出口まで見送ってくれる。父島が見えなくなったときは寂しさに襲われた。

テーマ : 国内旅行
ジャンル : 旅行

カソリの島旅(10)母島(東京)

 (『ジパングツーリング』2001年8月号 所収)

「伊豆諸島編」を終え、「小笠原諸島編」に出発したのは2001年4月20日。小笠原海運の「おがさわら丸」(6679トン)にスズキSMX50とともに乗り込んだ。

 東京港・竹芝桟橋を出港したのは午前10時。午前中の出港で、さらに晴天ということもあって、いやがうえにも「船旅」に気分が盛り上がる。

「おがさわら丸」はレインボーブリッジの下をくぐり抜ける。右手に東京港のコンテナ専用埠頭、左手に台場を見る。やがて羽田空港の沖合を通り、東京湾を南下。小笠原諸島最大の父島まで約1000キロ、25時間余の船旅がはじまった。

「おがさわら丸」の便数は月に4便程度。父島の二見港に2泊か3泊し、東京港に戻る。ぼくの乗った4月20日発の便は二見港に2泊する便だった。この2泊3日で父島と母島の両方を見てまわろうとした。これはかなり綱渡り的な芸当だ。

 翌朝の9時、小笠原諸島北端の島々が見えてくる。北島、聟島、嫁島‥‥とつづく聟島列島の島々だ。ここはどこも無人島。やがて弟島、兄島、父島とつづく父島列島が見えてくる。父島の近くでは潮を吹き、尾を海上に上げた1頭のクジラを見た。

 11時30分、父島の二見港に到着。港のターミナルビル前にはタコの木やビーデビーデの亜熱帯樹。鮮やかな朱色の花をつけたビーデビーデは南洋桜ともいわれるそうで、亜熱帯の島にやってきたことを強烈に実感した。

 ここで12時30分発の「ははじま丸」(490トン)に乗り換える。母島の沖港到着は14時30分だ。
「ははじま丸」に積まれたコンテナからSMX50が降ろされると、さっそく母島を走りはじめる。母島は南北に細長い島。北進線で母島最北の北村へ。

 ビッグベイ(猪熊湾)やロングビーチ(長浜)を見下ろし、亜熱帯樹がうっそうとおい茂る桑ノ木山を越え、二十丁峠を越える。北村まで10キロ。北港跡の石づくりの桟橋で北進線は行き止まりになる。

 この北村には戦前までは約80戸の家があったという。村役場や郵便局、駐在所、旅館、小学校などがあり、東京からの定期船も寄港したという。だが今は1軒の家もない。小学校跡は亜熱帯樹のガジュマルの中に埋もれていた。胸のジーンとする光景だ。思わず「諸行無常」の言葉が口をついて出る。

 北村から沖港に戻り、今度は南進線を南へ。4キロほど走ると母島最南端の南崎に通じる遊歩道の入口に着く。約1時間、汗だくになって亜熱帯樹の覆いかぶさる小道を歩き、南崎の海岸に出た。

 目の前には鰹鳥島、丸島、二子島、平島、その向こうには姉島、妹島、姪島といった母島列島の島々が見える。すぐ左手には標高86メートルの小富士。日本最南の富士山だ。

 夕日に照らされた南崎をあとにし、沖港の民宿「つき」に泊まる。翌朝は夜明け前の4時に起き、母島の最高峰乳房山(463m)に登った。宿に戻ると朝食を食べ、母島の郷土資料館の「ロース記念館」(無料)を見学した。

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カソリの島旅(9)八丈島(東京)

 (『ジパングツーリング』2001年8月号 所収)

「伊豆諸島編」の前半戦では、伊豆大島、利島、新島、式根島、神津島の5島を巡り、いったん東京に戻った。それにひきつづいての「伊豆諸島編」の後半戦の開始。出発は2001年4月9日。難問だらけの「伊豆諸島編」の後半戦だ…。

 最初の計画では「三宅島→御蔵島→八丈島→青ヶ島」と巡る予定だった。ところが三宅島は昨年(2000年)の雄山の噴火以来、火山活動は弱まることなくつづいており、渡島禁止で島に上陸することはできない。ということで、三宅島は断念せざるをえない。

 次に御蔵島はこの季節だと、船便は週1便なので、やはり断念せざるをえない。そのかわりに、東京発御蔵島経由八丈島行きの船に乗り、船が御蔵島に着いたとき、一瞬でも岸壁に下りてみることにした。

 これら2島はまたいつの日か、次の機会にぜひとも行こうと思う。
 さらに青ヶ島だが、八丈島から青ヶ島に渡る船はきわめて欠航の確率が高いという。
「カソリさん、そう簡単には青ヶ島には行けませんよ」といわれてしまった。

 このように難問だらけの「伊豆諸島編」の後半戦なのだが、すべてはやってみないことにはわからない。かえってチャレンジ精神に火がつけられた。
「島巡りツーリング」のおもしろさは、やってみないことにはわからないという、この出たとこ勝負にあると思う。

 4月9日22時30分、東海汽船の「すとれちあ丸」(3708トン)は定刻どおりに東京港・竹芝桟橋を出港した。船上から眺める東京の夜景はまばゆいばかり。夜が明けると、三宅島のすぐわきを通った。島の主峰、雄山には厚い雲がかかっている。今は無人の島となった三宅島だが、灯台には明かりがついていた。

 三宅島が遠ざかると、御蔵島が見えてくる。切り立った断崖がストンと海に落ち、何本もの滝が見える。6時に御蔵島着く。何人かの乗客が下りるとすぐさま出港だ。

 八丈島の八重根港に着いたのは9時20分。「すとれちあ丸」からスズキSMX50の入ったコンテナが降ろされる。岸壁でバイクを引き取る。

 青ヶ島は渡るのが難しいといわれていたので、このまま青ヶ島行きの青ヶ島村営船「還住丸」に乗り、まず先に青ヶ島に行こうとした。ところが海が荒れているとのことで欠航だ。ということで、八丈島を走ることにした。

 御蔵島では青空が広がっていたが、南下するにつれて天気が悪くなり、八丈島では雨が降っている。なんとも辛いことだが、雨具を着ての出発となった‥‥。

 八丈島は北に八丈富士、南に三原山がそびえ立ち、その間が平坦地になっている。島全体が3パートに分かれているようなものだ。

 八重根港を拠点に、まずは北部を一周。島の東海岸にある底土港に行き、そこから反時計回りで海沿いに走り、八重根港に戻った。島の北半分、北部の一周は33キロだった。

 昼食のあと、今度は島の南部を一周する。八丈島には島一周の都道が走っていて、キロ表示の地点標が1キロごとに立っている。地図つきなのでわかりやすい。「北部一周」のときと同じように、八重根港から底土港に行き、今度は時計回りでの「南部一周」だ。

 SMX50のアクセルを開き、まずは登龍峠を登っていく。50㏄にとってはかなりきつい登り。峠近くには展望台。底土港を見下ろし、その向こうにそびえる八丈富士を一望する。だが残念ながら八丈富士の中腹より上は雲の中。この八丈富士は標高854メートルで伊豆諸島の最高峰になっている。 

 末吉地区に入ったところで、八丈島の温泉めぐりを開始する。まず第1湯目は末吉温泉の「みはらしの湯」(入浴料500円)。大浴場に隣り合った露天風呂からの眺めは最高だ。正面には太平洋の大海原が広がり、右手には八丈島最南端の小岩戸ヶ鼻を眺める。すきっと晴れた日には水平線上に浮かぶ青ヶ島が見られるという。

 第2湯目は洞輪沢漁港のすぐ前にある洞輪沢温泉。ここはなんともうれしい無料湯。男女別の脱衣所と浴室がある。太いパイプから湯が豪快に木の湯船に流れ込み、そしておしげもなくあふれ出ている。

 第3湯目は裏見ヶ滝温泉。混浴の露天風呂で、ここも無料湯。そのあと中ノ郷温泉「やすらぎの湯」と樫立温泉「ふれあいの湯」に入ったが、入浴料はともに300円。猛烈な風と雨の嵐のような天気だったが、温泉に入っている間はすこしも気にならない。こうして夕方、八重根港に戻ったが、「南部一周」は58キロ。夜は底土港に近い民宿「そこど荘」に泊まった。

 翌日も天気は悪く、青ヶ島への船は欠航した。そこで午前中は島南部の最高峰、三原山に登った。標高700メートルの山頂に到達したときは雨と汗でグショグショ状態。山から下ると、樫立温泉「ふれあいの湯」に入った。
「う~ん、生き返った!」

 午後は島北部の最高峰、八丈島富士に登った。一周5キロほどの八丈富士中腹の周遊道路からちょっと入ったところが登山口。火山岩を使った石段を登っていく。全部で1280段はかなりの勾配。ヒーヒーいって登った。

 第2夜目も民宿「そこど荘」に泊まった。翌朝はかなり天気も回復したがやはり青ヶ島への船は欠航した。残念。青ヶ島も断念し、底土港から東海汽船の「すとれちあ丸」で東京に戻った。

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