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「青春18きっぷ2010」(44)

第7日目(新潟・東京・その2)

 磐越西線で新潟側の最後の駅、豊実を過ぎ、福島県に入っていく。阿賀野川から阿賀川と名前を変えた川沿いを行く。対岸には国道459号が通っている。
 福島県側の最初の駅は徳沢だ。

 西会津町の中心、野沢駅を過ぎると雪はやんだ。阿賀川と只見川の合流地点に近い山都駅を過ぎると、薄日が差してきた。雨→雪→曇→晴とめまぐるしく天気が変る。山都の次が「喜多方ラーメン」で有名な喜多方。8時24分の到着。駅前には昭和電工の大きな工場がある。ここでは列車すれ違いのため、6分間の停車。

 喜多方を過ぎると、列車は快速になり、広々とした会津盆地を行く。磐梯山が見える。飯豊連峰の山々も見える。途中、塩川駅に停車し、8時47分、終点の会津若松駅に到着。新津駅から2時間42分だ。

 会津若松では30分ほどあるので、改札口を出て、駅前を歩いた。
 残念ながら、今回は町歩きできるほどの時間はなかったが、会津若松はぷらぷら歩きするのにはちょうどいい町の規模。積み重なった歴史の古さをいたるところで感じさせてくれる。何代もつづいた造り酒屋や漆器店、民芸品店、駄菓子屋といった老舗が、ごくあたりまえの顔をして軒を並べている。

 思わず中をのぞき込んでみたくなるような、古びた暖簾のかかった店。どっしりとした白壁の土蔵の店。会津若松には土蔵が多く残っている。一歩、裏道に入ると、今でも途切れることなくつづいている手仕事をあちこちで見る。藍染めの会津木綿、絵ろうそく、あけび細工、赤べこ…と。
「いいものはいい!」
 といって、時代の流れに棹さしている会津人の一徹さを見る思いがする。

 会津若松のシンボル、鶴ヶ城の天守閣に登ると、360度の展望が開ける。そこからの眺めは、(町中を歩いているときはあまり気づかないことだが)会津若松が盆地の町であることをはっきりと教えてくれる。

 町並みをぐるりと遠巻きにするかのように、山並みが途切れることなくつづいている。磐梯山が雲の上にツンと、尖った頂上を突き出している。飯豊連峰の山々がどっしりとした姿で連なっている。奥会津の山々は幾重にも重なり合って越後へ、奥日光へ延びている。阿賀川が日本海に向かって流れ出ていくあたりだけが、山々は落ち込み、低くなっている。

 2008年8月には、会津若松駅を出発点にして町歩きをしたので、そのときの写真を見てもらおう。繰り返しになるが、会津若松は町歩きには絶好だ。

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新潟県側の最後の駅、豊実駅

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福島県側の最初の駅、徳沢駅

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上野尻駅

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野沢駅

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野沢駅を過ぎると雪はやんだ

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山都駅

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山都駅を過ぎると薄日が差してくる

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会津若松に到着

◇◇◇
(※以下6点の写真は2008年8月の撮影)

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会津若松の絵ろうそく

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赤ベコなどの民芸品

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会津塗りの漆器

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会津本郷焼き

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鶴ヶ城の天守閣

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鶴ヶ城からの眺め

(※以上)
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テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(43)

第6日目(新潟→東京・その1)

「青春18きっぷ2010」の旅もいよいよ最終日。新潟駅前の「東横イン」を4時30分に出発。雨が降っている。

 新潟駅の改札口で青春18きっぷの第5日目の欄に日付印のスタンプを押してもらい、3番線へ。

 信越本線の一番列車、5時17分発の長岡行に乗車。2両編成の電車。ボックスシートなのでゆったり気分で座れる。

 車内で朝食。「東横イン」のフロントでもらった朝日新聞(無料)を読みながら、コンビニのおにぎりを食べる。

 おにぎりを食べ、朝刊を読み終わる頃には発車時間だ。こうして一番列車に乗るのは、鈍行乗り継ぎ旅の基本といえる。

 長岡行は新潟駅を発車すると、越後石山、亀田、荻川、さつき野と停車し、5時36分、新津駅に到着。新津も雨。ここで磐越西線に乗り換える。

 昨夜、この新津駅に降り立ったとき、
「明日は北陸本線ではなく、磐越西線に乗ろう!」

 と突如、思い立った。その結果、新潟に到着し、「東横イン」の部屋に入るなり、夢中になって新たなプランニングをしたのだが、「う~ん、旅はドラマだ!」とあらためて思ってしまうのだ。
 もし磐越西線に乗ろうと思わなければ、今ごろは長岡から直江津に向かっていた。

 新津発6時05分発の磐越西線会津若松行に乗車。2両編成のディーゼルカー。列車は定刻通りに出発。うっすらと夜が明けると、列車はすでに新潟平野から阿賀野川沿いの谷間に入っていた。天気は変り、チラチラ雪が降っていた。

 三川駅を過ぎたところで検札。鈍行乗り継ぎ旅の6日目にして初めて経験する検札だ。
 7時08分、津川着。津川を過ぎると、雪は一段と激しさを増す。

 新潟県最後の駅、豊実を過ぎると、列車は阿賀野川沿いに走り、新潟県から福島県に入っていく。それとともに、阿賀野川は阿賀川と名前を変える。

 この県境あたりの地形はきわめて興味深いのだが、阿賀川が力まかせに越後山脈をブチ破っているという感じなのだ。

 阿賀川はすごい川。どのようにすごいかというと、福島県の西半分を占める会津のすべての水はこの阿賀川となって、新潟平野に流れ出ていく(猪苗代湖の水が安積疎水となって郡山盆地に流れていくように、一部例外はあるが)。会津はその全域が阿賀川の水系なのである。

 会津は「峠の国」とよくいわれるが、どこへ行くのにも峠を越えていく。唯一、峠を越えないルートがこの地点。さらに、会津のみなさんへの失礼千万を省みないでいえば、この地点に高さ200メートルほどのダムをつくれば、会津の大半は巨大湖の湖底に沈んでしまう。

 会津はこのように、よその世界とは隔てられた独立した小国家のようなところなので、長い年月にわたって独自の歴史と文化を育んできた。

 東京だと「3代つづけば江戸っ子だい!」などといっているが、会津若松では3代ぐらいだと、まだ旅の者、よそ者で、5代つづいてはじめて会津人という話も聞いた。
 そんな会津に入ったのだ。

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新潟駅の改札口

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新潟駅の3番線ホーム

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信越本線の長岡行に乗車

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最終日の青春18きっぷ

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朝食のおにぎりを食べる

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新津駅に到着

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新津駅を走り去っていく長岡行

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磐越西線の会津若松行に乗車

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夜が明けると雪が降っている

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津川を過ぎると雪は激しさを増す

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(42)

第5日目(函館→新潟・その9)

 新津駅では10分しかなかったが、速攻で駅舎を出た。新津といえば昔からの鉄道の町。ここで信越本線と羽越本線、磐越西線が分岐している。そんな新津駅を少しでも感じとりたかったのだ。

 夜の駅前をほんのわずかプラプラ歩き、駅に戻り、信越本線の21時04分発の新潟行に乗った。長岡発の電車で7両編成。ドアは自分で開ける半ドア。終点の新潟到着は21時24分。駅前の「東横イン」に泊まる。

 部屋に入り、シャワーを浴びると、コンビニ弁当を食べる。
 食べ終わったところで、翌日の最終日のルートを考える。

 今回の「青春18きっぷ2010」の計画段階では、新潟からさらに日本海沿いに富山まで行き、そこから高山本線で南下し、岐阜から東京に戻るというもの。

 だが、そのルートだと、高山本線の「高山→美濃太田」間は特急に乗らなくてはならない。でないと、その日のうちに東京に戻れなくなってしまうからだ。

 それがいやで、出発直前になってルートを変更した。新潟から糸魚川まで行き、大糸線で松本へ、松本から東京に戻るというルートで、その行程表は次のようなものだ。

新潟発  05時17分 信越本線  
長岡着  06時31分 
長岡発  06時42分 信越本線 
直江津着 08時07分 
直江津発 08時13分 北陸本線 
糸魚川着 08時50分 
糸魚川発 10時43分 大糸線 
南小谷着 11時44分 
南小谷発 12時04分 大糸線 
松本着  14時19分 
松本発  14時25分 中央本線 
高尾着  18時08分 
高尾発  19時00分 中央線 
東京着  20時00分 

 だが、さきほど羽越本線で新津駅に降り立ったとき、突如として磐越西線→磐越東線で東北を横断したくなったのだ。これはバイク旅でもよくあること。ぼくはこういうときの自分の気持ちの変化というか、気持の変わり方を大事にしている。というよりもこれがカソリ流「旅のひらめき」なのだ。

「何ていい加減な」
 といわれそうそうだが、本人は本気なのだ。それはまた、ひとり旅だからできることともいえる。

 思い立ったが吉日で、「東横イン」の部屋でコンビニ弁当を食べ終わると、JTBの大型時刻表のページをくくり、夢中になって第6日目のプランをつくった。それが次のようなものだ。

新潟発  05時17分 信越本線 
新津着  05時36分 
新津発  06時05分 磐越西線 
会津若松着08時47分
会津若松発09時11分 磐越西線 ※快速「あいづライナー2号」
郡山着  10時11分
郡山発  11時20分 磐越東線 
小野新町着12時10分
小野新町発14時09分 磐越東線 
いわき着 14時52分
いわき発 15時12分 常磐線  
水戸着  16時40分
水戸発  17時00分 水戸線  
小山着  18時25分 
小山発  18時34分 両毛線  
高崎着  20時29分
高崎発  20時31分 高崎線  ※通勤快速
上野着  22時11分

 上野駅に22時11分に着ければ、山手線で東京駅まで行き、中央線で新宿駅まで行き、小田急線で伊勢原の自宅まで帰れる。

 このプランをつくり上げると、「やったね!」という気分で、カンビールをキューッと飲み干した。

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新津駅では信越本線と羽越本線、磐越西線が分岐

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雨の新津駅

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新津駅前

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新津駅の5番線へ

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信越本線の新潟行に乗車

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新潟駅では信越本線と白新線、越後線が分岐

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夜の新潟駅

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新潟駅の万代口

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新潟駅前の「東横イン」に泊まる

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夕食のコンビニ弁当

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(41)

第5日目(函館→新潟・その8)

 酒田からは17時22分発の新津行に乗る。2両編成のディーゼルカー。
 酒田駅を出ると、東酒田、砂越と通り、最上川を渡る。車窓から最上川の暗い川面を見た。羽越本線は酒田からはそのまま日本海側を南下するのではなく、庄内平野を迂回するようなルートになっている。

 余目駅で陸羽西線と分岐。鶴岡駅ではゴソッと高校生たちが乗り込み満員になった。羽前大山駅、羽前水沢駅、三瀬駅と、停車するごとに高校生たちは降りていく。

 三瀬駅を過ぎると暗い日本海が車窓に見えてくる。列車は国道7号と平行して走っているが、このあたりは山が海に迫り、羽越本線はトンネルを連続してくぐり抜けていく。

 あつみ温泉への入口のあつみ温泉駅を通り、18時30分、山形県内最後の鼠ヶ関(ねずがせき)駅に到着。ここは東北最後の駅でもある。

 鼠ヶ関駅の周辺は山形県の鼠ヶ関(鶴岡市)だが、市街地は途切れることなく新潟県の伊呉野(村上市)へとつづいている。国道7号だと山形・新潟の県境はわかりやすいが、市街地がつづく旧道だと、なかなかわかりにくい。そこが羽越本線の路線名にもなっている出羽と越後境の「羽越国境」だ。

 鼠ヶ関といえば勿来関、白河関と並ぶ古代「奥羽三関」のひとつとしてよく知られている。鼠ヶ関址は鼠ヶ関駅よりも南、国道7号の山形・新潟県境のあたりになるという。

 それよりも北に1キロほどの国道7号沿いには、「念珠関(ねずがせき)址」の石碑が建っている。それは慶長年間(1596年~1615年)から明治5年までの「念珠関」の址。このように鼠ヶ関には古代の鼠ヶ関と近世の念珠関、2つの関所跡がある。

 鼠ヶ関は魚のうまい町。夏だと岩ガキが食べられる。
 昨年の「東北一周」では、国道7号沿いの鮮魚料理店「番屋」で岩ガキと焼き魚(メバル)定食を食べたので、「念珠関址」の写真とともに見てもらおう。

 羽越本線に乗ったら、ふらりと鼠ヶ関駅で下車するのはすごくいい。
「念珠関址」に立ち、「念珠の松」を見、鼠ヶ関漁港を見、歩いて渡れる弁天島をぐるりと一周するのだ。弁天島の入口には厳島神社がまつられているが、門前の店で食べた一夜干しの焼きイカはうまかった!

 酒田からは鼠ヶ関止まりの列車が1日に何本か、出ている。そのほか村上行も出ている。鼠ヶ関は羽越本線の鈍行でもけっこう行きやすい。

 さて、新津行の列車は鼠ヶ関を出ると、山形県から新潟県に入り、日本海の海岸線を南下する。勝木(がつき)駅を過ぎ、越後寒川(えちごかんがわ)駅を過ぎると、日本海有数の海岸美を誇る「笹川流れ」に入っていく。北半分を「下海府」、南半分を「上海府」という笹川流れは三面川の河口で尽きるが、残念ながら車窓からは時折、暗い海が見えるだけだった。

 三面川を渡ると村上だ。
 米坂線が分岐する坂町駅、白新線が分岐する新発田駅と通り、20時54分、終点の新津駅に到着。これで羽越本線の全線完乗だ。

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酒田に到着

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夜の酒田駅

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酒田駅の駅舎

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酒田駅で「月見うどん」の夕食

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酒田駅の改札口

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新津行に乗車

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新津行の運転席

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車内はボックスシート

◇◇◇
(※以下4点の写真は2010年8月の撮影)

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「念珠関址」の石碑

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鼠ヶ関の鮮魚料理店「番屋」

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岩ガキ

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焼き魚定食

(※以上)
◇◇◇

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村上駅

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新発田では白新線が分岐

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新津駅に到着

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(40)

第5日目(函館→新潟・その7)

 秋田の久保田城跡を歩き、秋田駅に戻ってきた。ここからは日本海の海岸線に沿って走る羽越本線で、酒田から新潟へと向かう。

 14時46分発の酒田行に乗車。4両編成の電車で前2両が酒田行、後2両が羽後本荘止まり。全車両がロングシートだ。

 秋田駅を発車した電車は奥羽本線と分れ、雄物川を渡り、日本海の海岸線を南下していく。国道7号が線路のすぐ脇を通っている。松林越しに日本海が見える。

 15時28分、羽後本荘駅に到着。ここで後2両が切り離され、15時40分に出発。停車時間は12分なので、そのまま座席に座り、時刻表を見ていた。

 羽後本荘を出ると西目、仁賀保、金浦と通り、16時17分、象潟に到着。
「象潟」といえば芭蕉の「奥の細道」のハイライトシーンだ。

===
 江山水陸の風光を尽くして、今象潟に方寸を責む。酒田の港より東北のかた、山を越え、磯を伝ひ、いさごを踏みて、その際十里、日影やや傾くころ、潮風真砂を吹き上げ、雨朦朧として鳥海の山隠る。闇中に模索して「雨もまた奇なり」とせば、雨後の晴色またたのしきものと、あまの苦屋に膝入れて、雨の晴るるを待つ。その朝、天よくはれて、朝日はなやかにさし出づるほどに、象潟に舟を浮かぶ。まず能因島に舟寄せて、三年幽居の跡を訪ひ、向かうの岸に舟を上がれば、「花の上漕ぐ」とよまれし桜の老の木、西行法師の記念を残す。江上に御陵あり。神功皇后の御墓という。寺を干満珠寺という。この所に行幸ありしこといまだ聞かず。いかなることにや。この寺の方丈に座して簾を捲けば、風景一眼の中に尽きて、南に鳥海、天を支え、その影映りて江にあり。西はむやむやの関、道を限り、東に堤を築きて、秋田に通ふ道遥かに、海北にかまえて、波うち入るる所を汐越といふ。江の縦横一里ばかり、俤松島に通ひて、また異なり。松島は笑ふがごとく、象潟は憾むがごとし。寂しさに悲しみを加へて、地勢魂を悩ますに似たり。

  象潟や雨に西施がねぶの花
  汐越や鶴脛ぬれて海涼し

(『おくのほそ道』より)
===

 芭蕉は「江山水陸の風光を尽くして」と、象潟を絶賛している。まるでここが「奥の細道」のゴールといってもいいような書き方で、象潟の描写にはひときわ熱が入っている。

 とくに印象深いのは干満珠寺から見た風景だ。
「この寺の方丈に座して簾を捲けば、風景一眼の中に尽きて、南に鳥海、天を支え、その影映りて江にあり。西はむやむやの関、道を限り、東に堤を築きて、秋田に通う道遥かに、海北にかまえて、波うち入るる所を汐越という」
 この一節は『おくのほそ道』を通しても一、二の名文だ。

 なんとも残念なのは、文化元年(1804年)の象潟地震でこの一帯は隆起し、「江の縦横一里ばかり」とある潟が陸地になってしまったことだ。

 干満珠寺は今は「カン満寺」になっているが、寺の境内には舟つなぎ石が残されている。それが当時は潟の岸辺にある寺だったことを証明している。

 またここからはポコッ、ポコッと盛り上がった小丘をいくつも見るが、それが当時の九十九島の跡。芭蕉は「松島は笑うがごとく、象潟は憾がごとし」といっているが、現在はまさにそのとおりになっている。

 松島は「奥の細道」人気も手伝って、押すな押すなの大盛況。瑞巌寺や五大堂などは、人をかきわけて歩くかのようだ。それにひきかえ、潟でなくなってしまった象潟はまるで忘れ去られてしまったかのような存在で、訪れる人はきわめて少ない。松島と象潟は、何とも対照的な「奥の細道」のハイライト的2地点なのである。

 ぼくは芭蕉の「奥の細道」が大好きで、何度、読んだかしれない。
「サハラ砂漠往復縦断」(1987年~88年)のときも、唯一持った本は、「奥の細道」の文庫本だった。

 2009年には東京・深川から結びの地の岐阜・大垣までバイクを走らせ、芭蕉の「奥の細道」の足跡を追った。ぜひともそのときの写真を見てもらおう。カン満寺の山門前には芭蕉像のほかに、新しく西施像もできていた。

 そのような象潟なので、羽越本線の電車が象潟駅に停車し、象潟駅を発車するときは胸にジーンとくるものがあった。

 象潟駅では大半の乗客が降り、車内はガラガラになった。象潟の次の次、小砂川駅を過ぎると秋田県から山形県に入り、16時55分、電車は終点の酒田駅に到着した。

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秋田駅の改札口

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秋田駅の4番線ホーム

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秋田からは羽越本線を行く

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羽後本荘駅

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夕日が落ちていく

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象潟駅

◇◇◇
(※以下の4点は2008年8月の撮影)
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カン満寺の山門

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カン満寺山門前の芭蕉像

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カン満寺山門前の西施像

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九十九島の名残の小丘

(※以上)
◇◇◇

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象潟を過ぎると車内はガラガラ

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酒田に到着

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(39)

第5日目(函館→新潟・その6)

 秋田では1時間半ほど時間があるので、久保田城跡の千秋公園まで行く。
 秋田は佐竹氏20万石の城下町。藩政時代は久保田といわれた。久保田が秋田に変ったのは明治以降のことだ。

 秋田駅の改札口を出ると、通路の天井から吊り下げられた「竿灯祭」の竿灯が目に飛び込んでくる。竿灯祭といえば、「東北三大祭」のひとつ。人気の蒸気機関車、「デコイチ」の模型も展示されている。

「ぽぽろーど」から「仲小路」と駅前のショッピング・プロムナードを歩き、駅前大通りに出たところで千秋公園へ。

 大手門跡に立ち、久保田城跡の堀を見る。
 久保田城は慶長7年(1602年)、前水戸藩主の佐竹義宣が築城したが、天守閣と石垣のない城として知られていた。その城跡は全域が千秋公園になっている。

 久保田城の表門から本丸跡に入っていく。
 久保田城の本丸は明治以降に全焼し、当時を偲ぶ建物は何も残っていない。

 本丸跡の八幡秋田神社を参拝。秋田神社は初代藩主の佐竹義宣をまつっているが、その秋田神社と佐竹氏の氏神の八幡神社を合祀して八幡秋田神社になっている。
 本丸跡には佐竹氏第12代目の佐竹義堯の像が建っている。

 最後に千秋公園内にある「佐竹資料館」を見学。
 秋田といえば佐竹だが、ここでは初代藩主の佐竹義宣から最後の藩主、第12代目の佐竹義堯までの、源氏の流れをくむ佐竹氏の系図がよくわかる。

「秋田藩主と家臣たち」と題しての特別展では、第10代目の義厚(よしひろ)から第12代目の義堯(よしたか)までの秋田藩の歴史が紹介されていた。

 秋田といえば日本有数の美人地帯だが、よくいわれるのは関ヶ原の合戦後、水戸から秋田に移封された佐竹義宣が水戸の美人を大挙して連れていったからだという。その水戸美人が秋田美人の源流になっているというのだ。

 気の毒なのは水戸だ。
 佐竹義宣に美人を根こそぎ連れていかれてしまった水戸は、それが原因で、「美人極少の地」になってしまったという(水戸のみなさん、ごめんなさい)。

 しかし、ぼくは秋田美人の源流が佐竹氏にあるとは思わない。

 津軽から秋田、越後、加賀、越前…とつづく日本海の一帯は、津軽美人、秋田美人、越後美人、加賀美人、越前美人…の名で知られているような、ベルト状の「日本一の美人地帯」になっている。

 日本海の風土が、これら日本屈指の美人たちを生み出したのは間違いないことだ。

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「竿灯祭」の竿灯

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「デコイチ」の模型

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仲小路

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秋田駅前のバス乗り場

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久保田城の大手門跡

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八幡秋田神社

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久保田城の本丸跡

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第12代目藩主の佐竹義堯像

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(38)

第5日目(函館→新潟・その5)

 五能線の快速「リゾートしらがみ2号」は須郷岬を通り過ぎ、青森県から秋田県に入っていく。
 最初の停車駅は岩館駅。
 次はあきた白神駅。

 左手には白神山地の山々が連なっているが、この近くから入っていく青秋林道(舗装林道・秋田県側は通行可)を行けば、「八森ぶなっこランド」を通って二ツ山の登山口まで行ける。このルートは世界遺産・白神山地への最短ルート。登山口の駐車場から秋田・青森県境の二ツ森(1086m)の山頂までは徒歩約40分。

 なお、五能線の青森県側の駅、白神岳登山口駅(快速は停まらない)からは白神岳登山口まで2キロほどの舗装林道が延びている。登山口の大駐車場から白神山地の主峰、白神岳(1232m)の山頂までは徒歩約3時間30分。その北には白神山地の最高峰、向白神岳(1243m)がそびえている。この山はブナの大原生林で知られている。

 あきた白神駅の右手には、国道101号をはさんで八森いさりび温泉の温泉施設、「ハタハタ館」がある。ここはいい。国道沿いなので、東北のバイク旅のときにはよく入っている。

 大浴場の湯につかりながら眺める日本海がたまらない。気持ちよく入れる露天風呂もある。レストランでは「はたはた御膳」や「はたはたずし」など、名物のハタハタ料理を食べられる。ここには海岸に下ったところに八森温泉の「湯っこランド」もある。地元のみなさんが入りにくる素朴さの漂う温泉だ。

(ということで、ここでは八森いさりび温泉と八森温泉の写真をのせておこう。2010年夏の「東北一周」のときのものである)。

「リゾートしらがみ2号」はあきた白神駅を過ぎると八森駅を通過。八森の町並みが途切れたあたりからは南に長く延びる日本海の海岸線を一望する。

 やがて米代川下流の平野に入り、秋田県の大河、米代川を渡り、能代駅に到着。次の奥羽本線との分岐駅の東能代駅が五能線の終点になる。これにて五能線の全線完乗達成!

「リゾートしらがみ2号」は奥羽本線に入ると、森岳、八郎潟、追分と停車していく。
「追分駅」は北海道の室蘭本線でも通った駅だが、奥羽本線にも「追分駅」がある。
 このような同名の駅名というのはJR線ではきわめて珍しい。

 追分駅の2つ手前には「羽後飯塚駅」があるが、これは九州の筑豊本線に「飯塚駅」があるので、奥羽本線の飯塚駅には旧国名の羽後をつけている。このような例が大半だ。

「リゾートしらかみ2号」は13時21分、終点の秋田駅に到着。鰺ヶ沢から3時間余の五能線はよかった!

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岩館駅に停車

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岩館の家並み

◇◇◇
(※以下の6点の写真は2010年8月の撮影)

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「ハタハタ館」の露天風呂

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はたはた御膳

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ハタハタの煮魚

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ハタハタの飯ずし

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八森温泉「湯っこランド」

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「湯っこランド」の湯

(※以上)
◇◇◇

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八森の町並み

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米代川を渡る

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追分駅

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秋田に到着した「リゾートしらかみ2号」

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秋田駅

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「青春18きっぷ2010」(37)

第5日目(函館→新潟・その4)

 鰺ヶ沢駅に戻ると、10時12分発の五能線の快速「リゾートしらがみ2号」秋田行の指定券(310円)を買う。この列車は全席指定だ。

 鰺ヶ沢駅のホームに立ったときは、どんな列車なのだろうという期待感で、胸がときめいた。
「リゾートしらがみ2号」は定刻通りに鰺ヶ沢駅に到着。4両編成の観光列車で、この列車の愛称は「青池」。十二湖の神秘の湖、青池にちなんだ名称。ブルーを基調にしたきれいな新型車両で、先頭はアイボリー。すごく洒落ている。

 2人掛の座席の窓側に座る。座席を回転させれば、4人用のボックスシートにもなる。スペースをたっぷりとっているので、じつにゆったり座れる。いたれりつくせりの観光列車だ。

 観光客の少ない季節なので、車内はガラガラ。それでも車内販売がやってくる。ホットコーヒー(300円)を飲みながら、車窓を流れていく日本海を眺める。ちょっとリッチな気分。それを「青春18きっぷ」で味わえるのだ。

 青森県内の日本海では一番の名所、千畳敷では、車窓の風景を見やすいようにと、列車はガクンとスピードを落とした。車内放送では千畳敷の説明をしてくれる。まるで観光バスのガイドさんの説明を聞いているかのようだ。

 10時57分、深浦着。江戸時代には北前船の寄港地として栄えた深浦だが、ここでは青森行の「リゾートしらかみ1号」とすれ違う。この列車の愛称は「くまげら」だ。

 深浦を過ぎたところで、車内販売の駅弁を買った。
「帆立釜めし」(900円)。
 青森駅の名物駅弁で、醤油飯の上に陸奥湾産の味付きホタテがたっぷりとのっている。そのほか根曲竹の竹の子、山くらげ、プチプチした食感のトビコ、コリコリした歯ざわりの山くらげ、錦糸卵がのっている。色鮮やかな駅弁だ。

 車窓の風景を見ながら駅弁を食べている間に、黄金崎不老ふ死温泉やみちのく温泉のすぐ近くを通り過ぎ、ウェスパ椿山駅に停車した。ここには温泉施設の「ウェスパ椿山」がある。

 旧岩崎村(現深浦町)の陸奥岩崎駅は通過し、十二湖への入口の十二湖駅には停車する。さすが観光列車だけのことはある。

 なお「十三湖」は岩木川河口のひとつの大きな湖だが、「十二湖」は大小33の湖沼群の総称。その中には白い岩肌をむき出しにした日本キャニオンもある。

 十二湖駅を過ぎると、日本海の海岸線に沿って走り、青森・秋田県境の須郷岬に向かっていく。国道101号が五能線に沿って走っている。

 さー、列車での「岬めぐり」だ。
 五能線のハイライトシーンといってもいい須郷岬は、白神山地がまさに日本海に落ち込む地点。日本海に落ちる断崖絶壁、海に散らばる岩礁群が車窓から見える。北へと延びる長い海岸線もよく見える。

 五能線から見る須郷岬は(車窓から見る岬の中では)日本一の絶景岬といっていい。
「リゾートしらがみ2号」はそんな絶景岬の須郷岬を通り過ぎ、青森県から秋田県に入っていった。

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鰺ヶ沢駅

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「リゾートしらかみ2号」がやって来た!

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「リゾートしらかみ2号」の愛称は「青池」

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ゆったりとした座席。座り心地も満点!

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日本海を眺める

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ここは千畳敷

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五能線に沿って走る国道101号

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深浦駅では「リゾートしらかみ1号」とすれ違う

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青森名物の駅弁「帆立釜めし」

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青森・秋田県境の須郷岬へ

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「青春18きっぷ2010」(36)

第5日目(函館→新潟・その3)

 五能線の鰺ヶ沢駅では1時間半の時間があるので、ぶらりと町を歩くことにする。
 駅を出ると、まっ先に「ケッパレ(がんばれ)、舞の海関」の文字が目に飛び込んでくる。鰺ヶ沢は元小結、舞の海の出身地。相撲解説者として活躍している舞の海の人気は、ここでは今でも高い。

 曹洞宗の高沢寺を参拝したあと、鰺ヶ沢漁港前の海の駅「わんど」へ。
 1階は海産物の売場や食事処になっているが、ここの売店で買ったおにぎりは抜群のうまさ!

「ます」と「たらこ」を食べたが、ともに1個100円。握った人の手の温もりが伝わってくるようなおにぎりで、それもボリューム満点のジャンボサイズ。米はうまいし、握り方は上手だし、具もたっぷりと入っていて、もう申し分ない。

 これを東京あたりで1個100円で売ったらバカ売れ間違いなしだ。
 日本全国のコンビニではおにぎり全盛時代の感があるが、どうしてこういうおいしいおにぎりが食べられないのだろう…と思ってしまう。

 海の駅「わんど」の2階には、さすが、舞の海の故郷だけあって「鰺ヶ沢相撲館」がある。
「わんど」から鰺ヶ沢漁港を歩く。岸壁にはイカ釣り船が接岸している。日本海のこの一帯はイカ漁が盛んだ。

 漁から戻ったばかりの小船からは、網が岸壁に降ろされた。それには冬を告げる魚、ハタハタがたくさんかかっている。何人もの人たちが総出で網から獲り、木箱に入れていく。こぼれ落ちんばかりのハタハタを詰め込んだ木箱が積み上げられ、トラックに積まれた。

 一時期はほとんど獲れなくなったといわれたハタハタだが、去年、今年と豊漁のようだ。

 鰺ヶ沢漁港から海水浴場の砂浜へ。冬の海水浴場は寂しげな風景。そこを最後に鰺ヶ沢駅に戻った。1時間半の、心に残る鰺ヶ沢プラプラ歩きだった。

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鰺ヶ沢に到着

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鰺ヶ沢駅に配備されている除雪車

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跨線橋から見る鰺ヶ沢駅

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鰺ヶ沢駅の駅舎を出る

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「ケッパレ、舞の海!」

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鰺ヶ沢の駅前通り

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鰺ヶ沢を流れる中村川

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曹洞宗の高沢寺

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海の駅「わんど」のおにぎり

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鰺ヶ沢漁港

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鰺ヶ沢漁港のイカ釣り船

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ハタハタの水揚げ

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木箱に満載のハタハタ

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鰺ヶ沢漁港の全景

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冬の海水浴場

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「青春18きっぷ2010」(35)

第5日目(函館→新潟・その2)

 夜明け前の青森駅周辺を歩き、青森駅へ。青森の地方紙、「東奥日報」を買い、改札口を通過。跨線橋を渡り、奥羽本線の弘前行が停車している6番線へ。

 ちょうどそのとき、ブルートレインが到着した。22時00分に札幌を発車した急行「はまなす」。急行「はまなす」は7両編成。そのうち2両が寝台だ。しばらくは列車から降りる人たちを眺めていた。

 6時09分発の弘前行に乗車。5両編成のロングシートの電車。発車時間まで「東奥日報」を読み、しばし青森に浸った。

 定刻通り、弘前行は青森駅を発車。次が新青森駅。東北新幹線の終着駅。4、5年後には、北海道新幹線の函館行が出るようになる。その日が待ち遠しい!

 新青森を出ると、津軽新城(つがるしんじょう)、鶴ヶ坂を通り、大釈迦峠を貫く新大釈迦トンネルを抜け、大釈迦駅に到着。列車は夜明けの津軽平野に入っていく。
 残念ながら雨模様の天気で、「津軽富士」の岩木山はまったく見えなかった。

 6時42分、川部駅に到着。ここで五能線に乗り換える。
 川部発6時51分の鯵ヶ沢行の列車。3両編成のディーゼルカーはリンゴ園の中を行く。板柳、陸奥鶴田と通り、ほぼ満員の乗客を乗せて7時20分、五所川原に到着。大半の乗客はここで降りた。後の2両が切り離され、先頭車両のみが鯵ヶ沢まで行く。

 五所川原では40分以上の待ち時間があるので、改札口を出て駅周辺を歩く。ここからはストーブ列車の津軽鉄道に乗りたいところだが…。

 五所川原駅に降り立つと、ねぶた祭りがなつかしく思い出される。
 ねぶた祭りというと青森、弘前(ねぷた)が有名だが、青森、弘前のみならず五所川原や大湊など青森県内の各地でおこなわれる。

 五所川原のねぶたは「立ネ武多(たちねぶた)」といわれるように、高さ20メートル以上の豪華絢爛の山車が市内をまわる。毎年8月4日から8月8日までおこなわれるが、その間、五所川原市内は祭り一色。
「ヤッテマレ」の掛け声が町中に響き渡る。

青森では「ラッセラー」、弘前では「ヤーヤードー」だが、ここでは「ヤッテマレ」。 まるでこの一瞬に賭けるかのように、「ヤッテマレ」と声を張り上げ、悲しくも短い東北の夏を爆発させる。

 ところで能登半島では輪島に近い「ねぶた温泉」に入ったことがある。この温泉に入った時、すぐに青森のねぶた祭りを連想したが、奥能登の「ねぶた温泉」は青森とはまったく関係ないとのことで、地名の「寝豚」に由来するという。そんな「ねぶた温泉」に入ったシーンも五所川原で思い出すのだった。

 8時04分、鯵ヶ沢行は1両編成になって五所川原駅を出発。列車はほぼ満員。大半は高校生で、次の木造駅でほとんど全員が降りた。

 列車は岩木山麓の中田、陸奥森田、越水と通り、鳴沢を過ぎると日本海が見えてくる。「おー、日本海だ!」
 ここからはひたすら、日本海に沿って南下していく。
 1両編成の列車は鯵ヶ沢の市街地に入り、8時34分、終点の鯵ヶ沢駅に到着した。

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青森駅の跨線橋

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札幌発の急行「はまなす」が到着

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奥羽本線の弘前行に乗車

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ロングシートの電車

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青森の地方紙「東奥日報」を読む

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川部駅に到着

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五能線に乗り換える

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五能線の鯵ヶ沢行列車

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五所川原駅

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越水駅

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鳴沢駅

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日本海が見えてくる

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鯵ヶ沢の市街地に入っていく

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「青春18きっぷ2010」(34)

第5日目(函館→新潟・その1)

 函館駅前の食事処「雅家」で夕食を食べ、駅待合室で夢中になって「青春18きっぷ2011」と「北海道全線完乗」のプランをつくり上げたところで、名残おしい函館駅をあとにする。

 改札口を通り抜け、ホームに下りると、ちょうど札幌発上野行の寝台特急「北斗星」が到着したところだった。
 鈍行列車もいいが、寝台列車もいい。

 上野駅から「北斗星」に乗って札幌まで行ってみたいという気持ちに強くかられる。それと同時に、いままでに乗った寝台特急がなつかしく思い出されてくるのだった。

 ぼくは寝台特急が好きなので、けっこう乗っている。
「東京→宮崎」で乗った寝台特急「富士」、「東京→下関」で乗った寝台特急「あさかぜ」、「東京→長崎」で乗った寝台特急「さくら」…。沖縄に行くときは、新幹線で新大阪まで行き、寝台特急「なは」に乗り換えて鹿児島まで行き、そこから船で那覇に渡ったこともある。

「東京-大阪」の寝台急行「銀河」には何度か乗ったし、「越前」や「能登」といった寝台急行にも乗った。

「博多→長崎」では鈍行に連結された寝台車に乗ったこともある。この鈍行寝台にどうしても乗りたくて、東京から福岡までは飛行機で飛び、博多発1時02分の「ながさき」に乗った。この「ながさき」というのが寝台を連結した普通列車で、6時40分に長崎に到着した。

 寝台列車というのは胸にグググッと来るものがあり、もうそれに乗るだけでドラマだ。そんなドラマチックな寝台列車が今、どんどんと消えている。何とも残念な話だ。

 ということで夢のある話を。
 まもなく九州新幹線の全線が開通するが、それに合わせて「東京-鹿児島」の寝台超特急が誕生したら、何とも夢のある話になると思うのだが…。

「青森-鹿児島」間の寝台超特急が誕生したらもっといい。2015年には北海道新幹線の「新青森-函館」間が開通するので、夢をさらにふくらませ、「函館-鹿児島」の超特急寝台を期待しよう。函館発鹿児島中央行の寝台列車に乗るだなんて、想像しただけでもゾクゾクしてくる。

 函館駅を離れていく寝台特急「北斗星」を見送ったあと、21時54分発の津軽海峡線・上磯行に乗車する。1両編成のディーゼルのワンマンカー。車内はガラガラだ。

 上磯行はガラガラのまま発車。五稜郭駅に停まり、次の七重浜駅には22時04分着。ここで下車し、津軽海峡フェリーのターミナルまで歩いていく。
 七重浜駅からだとわけない距離だ。

 30分もかからずにフェリーターミナルに到着。青森までのチケットを買うと、津軽海峡フェリーの「えさん2000」に乗船。すぐさまフェリーターミナル近くの「セブンイレブン」で買った「サッポロクラシック」で、離れゆく北海道に乾杯!

 カンビールを飲み終えると、シュラフにもぐり込み、速攻で寝た。
 函館港の出港は23時50分。
 青森港への入港は3時40分。
 4時間近くはぐっすりと寝られた。これだけ眠ればもう十分だ。

 青森は雨。北海道と比べると、ずいぶん暖かい。
 フェリーターミナルの24時間営業の食堂で「カレーライス」(650円)を食べる。 ぼくの好きな「朝ガレー」だ。いや、まだ朝にはほど遠い時間なので、「夜中ガレー」といったところか。

 カレーライスを食べて元気が出たところで、雨に濡れながら青森駅に向かって歩いていく。たっぷり時間があるのでプラプラ歩いた。

 まったく人影のない青森ベイブリッジから見下ろす青森駅の眺めは印象深かかった。
 5時には青森駅前に到着。青森港のフェリー埠頭から50分ほどかかった。
 さー、青森からは日本海側を南下し、新潟へと向かっていくのだ。

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上野行の寝台特急「北斗星」

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津軽海峡線の上磯行に乗る

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七重浜駅で下車

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七重浜駅の駅舎を出る

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津軽海峡フェリーのターミナルビル

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フェリーターミナルのイルミネーション

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右側の「えさん2000」に乗船

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「サッポロクラシック」で北海道に乾杯!

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青森港フェリーターミナルのカレーライス

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青森ベイブリッジを歩く

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青森ベイブリッジから見下ろす青森駅

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ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(33)

 雪の残る森町を歩き、森駅に戻ると、19時40分発の函館行に乗車。1両編成のディーゼルのワンマンカー。この列車は大沼公園駅経由で山側ルートを行く。大沼公園の次の駅、大沼で海側ルートに合流。峠を越え、函館へと下っていく。

 20時55分、函館に到着。列車は最初から最後までガラガラだった。
 ついに函館駅に戻ってきた。

 前日、函館発6時00分の列車に乗って旭川に向かったときは、ほんとうにプラン通りにまわれるだろうか…と一抹の不安があった。だがこうして予定通りに函館に戻ってこられて、うれしさを感じるのと同時に、さらなる北海道鈍行乗り継ぎ旅への想いをつのらせた。

 函館駅前の「どんぶり横丁市場」を歩いたが、横丁内のすべての店は営業を終えていた。そこで近くの「雅家」で夕食。「サケのハラス焼定食」を食べた。

 函館駅に戻ると、駅待合室で時刻表を見ながら、「青春18きっぷ2011」のプラニングをする。「青春18きっぷ2010」の旅の最中だというのに、もう夢中になって時刻表のページをめくった。

 2010では「東京-旭川」の往復だが、2011では「東京-稚内」の往復にする。
 第1日目と第2日目は2010と同じだが、第3日目以降は次のようにまわる。

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■第3日目(旭川→稚内→旭川)
宗谷本線
旭川発  06時05分 宗谷本線 
稚内着  11時52分      
稚内発  14時12分 宗谷本線 
旭川発  20時15分      
旭川で宿泊

(完全乗車路線)
1、宗谷本線

■第4日目(旭川→函館)
富良野線→根室本線→石勝線→千歳線→室蘭本線→函館本線
旭川発  06時25分 富良野線 
富良野着 07時08分      
富良野発 07時20分 根室本線 
新得着  08時56分      
新得発  09時37分 石勝線  ※特急スーパーおおぞら6号
南千歳着 11時00分      
南千歳発 11時39分 千歳線  
苫小牧着 11時59分      
苫小牧発 12時30分 室蘭本線 
東室蘭着 13時32分      
東室蘭発 13時45分 室蘭本線 
長万部着 15時14分      
長万部発 16時08分 函館本線 
函館着  19時24分      

(完全乗車路線)
1、富良野線

■第5日目(函館→東京)
「仙台→東京」間では常磐線の全線に乗る。

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 このような「青春18きっぷ2011」のプランをつくり上げると、さらに夢はふくらみ、鈍行乗り継ぎで北海道内の全線の完乗をしたくなった。
 そのプランが次のようなもの。函館を出発点にし、函館をゴールにする6日間のコースだ。

■第1日目(函館→旭川) 
函館本線
函館発  06時00分 函館本線 
長万部着 09時30分      
長万部発 12時11分 函館本線 
小樽着  15時29分      
小樽発  18時20分 函館本線 
札幌着  19時14分      
札幌発  19時38分 函館本線 
滝川着  21時10分      
滝川発  21時39分 函館本線 
旭川着  22時32分      
旭川で宿泊

■第2日目(旭川→根室)
石北本線→釧網本線→根室本線
旭川発  06時58分 石北本線 
上川着  08時15分      
上川発  12時01分 石北本線 ※特急オホーツク3号
遠軽着  13時19分      
遠軽発  13時31分 石北本線 
網走着  16時10分      
網走発  16時15分 釧網本線 
釧路着  20時07分      
釧路発  21時48分 根室本線 
根室着  00時22分      
根室で宿泊

(完全乗車路線)
1、石北本線
2、釧網本線

■第3日目(根室→滝川)
根室本線→函館本線
根室発  05時58分 根室本線 
釧路着  08時24分      
釧路発  10時17分 根室本線 
新得着  14時58分      
新得発  19時16分 根室本線 
富良野着 20時35分      
富良野発 20時39分 根室本線 
滝川着  21時36分
滝川発  21時49分 函館本線  ※スーパーカムイ43号
深川着  22時02分
深川で宿泊

(完全乗車路線)
1、根室本線

■第4日目(深川→夕張)
留萌本線→函館本線→室蘭本線→石勝線
深川発  05時47分 留萌本線 
増毛着  07時31分      
増毛発  07時45分 留萌本線 
留萌着  13時29分      
留萌発  12時15分 留萌本線 
深川着  13時10分      
深川発  14時07分 函館本線 
岩見沢着 15時22分
岩見沢発 16時29分 室蘭本線 
追分着  17時17分      
追分発  18時15分 石勝線  
夕張着  19時16分
夕張で宿泊

(完全乗車路線)
1、留萌本線

■第5日目(夕張→小樽)
石勝線→千歳線→札沼線→函館本線
夕張発  07時08分 石勝線  
南千歳着 08時27分      
南千歳発 08時43分 千歳線  
新千歳空港着 08時46分    
新千歳空港発 08時49分 千歳線
札幌着  09時25分      
札幌発  09時55分 札沼線  
石狩当別着10時41分      
石狩当別発11時15分 札沼線  
新十津川着12時37分      
新十津川発12時57分 札沼線  
石狩当別着14時18分      
石狩当別発14時29分 札沼線  
札幌着  15時13分      
札幌発  20時14分 函館本線 
小樽着  20時46分      
小樽で宿泊

(完全乗車路線)
1、石勝線
2、千歳線
3、札沼線

■第6日目(小樽→函館)
函館本線→江差線→津軽海峡線→津軽海峡フェリー
小樽発  08時07分 函館本線 
長万部着 11時13分      
長万部発 13時28分 函館本線 
函館着  16時11分      
函館発  16時21分 江差線  
江差着  18時58分      
江差発  19時08分 江差線  
函館着  21時16分      

(完全乗車路線)
1、江差線

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 これで「青春18きっぷ2010」の函館本線と室蘭本線、「青春18きっぷ2011」の宗谷本線と富良野線を合わせ、北海道の全路線の完全乗車になる。

「青春18きっぷ2010」の旅はまだまだつづくというのにカソリ、「青春18きっぷ2011」のプランのみならず、さらなる「北海道全線の完乗」のプランへと、函館駅の待合室で次々と「北海道・鈍行乗り継ぎ旅」のプランをつくり上げていくのだった。

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函館行に乗車

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この列車は山側のルートを行く

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大沼公園駅

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七飯駅

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函館に戻ってきた!

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函館駅の改札口

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函館駅前の「どんぶり横丁市場」

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函館駅前の「雅家」で夕食

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「サケのハラス焼定食」を食べる

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(32)

 長万部では1時間ほど待ち時間があるので、駅の周辺を歩いた。前日の大雪はほとんど消えていた。

 駅前から内浦湾(噴火湾)の海岸へ。海を渡る風は冷たい。
 天気がよければ豊浦から洞爺、伊達、室蘭と今、室蘭本線で通ってきた海岸線が見えるのだが、水平線には灰色の雲が垂れ込め、まったく陸地は見えなかった。

 北海道の地名の大半はアイヌ語に由来しているが、「オシャマンベ」はアイヌ語の「カレイのいる所」を意味するという。二股ラジウム温泉の奥にそびえる長万部岳(972m)の雪形がカレイに見えるという説もあるらしい。

 長万部周辺の海では実際、カレイがよく獲れるとのことだが、その雪形が見える頃になると、本格的なカレイ漁が始まるのかもしれない。

 16時08分発の函館本線の函館行に乗る。1両編成のディーゼルのワンマンカー。車内には数人の乗客が乗っていた。

 列車は定刻通りに発車。ボックスシートに座り、車窓を流れていく風景を眺める。
 中ノ沢を通り、国縫(くんぬい)を過ぎる頃には日が暮れた。悲しくなるほどで、北国の冬の夕暮れはトトトトッと音をたてるように早い。

 八雲駅ではドッと乗ってくる。大半は高校生。座席はほぼ埋まった。次の山越駅でかなり降り、次の野田生でも降り、その次の落部駅を過ぎるとガラガラの車内になった。
 落部からは乗客は自分一人になった。

 その後も乗る人はなく、カソリ1人を乗せて17時25分、森に到着。
 ガラガラの列車を走らせなくてはならないJR北海道には、深く同情してしまった。

 この列車は森駅に30分以上停車したあと、大沼までは、砂原、鹿部経由の海側ルートを行く。
 時刻表を見ると、次の列車、長万部発18時05分の列車に目がいった。この列車だと、山側ルートで大沼まで行く。

 昨日の「函館→長万部」では海側ルートを通ったので、今日の「長万部→函館」では山側ルートを行くことにした。
 急きょ森駅で下車。
 山側ルートの函館行は森発19時40分なので、2時間以上ある。
「よーし、森を歩くぞ!」

 長万部はアイヌ語の「オシャマンベ」(カレイのいる所)の意味だといったが、森はアイヌ語の「オニイシ」(樹木の茂っているところ)に由来するという。それを「鬼石」にするのではなく、「林」でもなく、「森」にしたところに先人の智恵を見る。

 北海道の地名の大半はアイヌ語の音に漢字を当てはめたもの。ところがこの「森」のように、意訳して漢字を当てはめた例もある。

 森駅の近くに国道5号の道の駅「YOU・遊・もり」があるが、その道の駅にある公園は「オニイシ公園」だ。そのことからもわかるように、森の地名の由来となった「オニイシ」は、森のみなさんにはよく知られている。

 森駅を降りると、駅前の「柴田商店」に行き、名物駅弁の「いかめし」(500円)を食らう。煮付けたイカの中に入ったご飯のモチモチ感が「いかめし」の人気の秘密。

「イカ飯」は北海道のイカ料理の代表的なもの。足を引き抜き、よく洗って包丁目を入れた身に、洗った米を詰める。つま楊枝で口をふさぎ、醤油、味醂で味つけしただし汁の中で1時間ほど煮込み、出来上がり。このイカの中に詰める米がイカめしの味の決め手だそうで、糯米と粳米を混ぜる割合がつくり手の秘伝になっている。

 長万部では前日の雪はほとんど消えていたが、森にはまだかなり残っていた。日が落ちると急速に気温が下がり、歩道も車道も、路面はアイスバーン状態になっている。ツルツル滑りながら歩き、国道5号の道の駅「YOU・遊・もり」へ。

 道の駅内の「オニイシ公園」を歩く。その一角には「オニイシ遺跡」がある。
「オニイシ公園」の展望台から夜の森の町並みと暗い内浦湾を眺め、森駅に戻った。

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長万部駅から函館方面を望む。停車中の列車は折り返しの東室蘭行

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長万部駅

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長万部駅の改札口

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函館行に乗車

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函館行列車の運転席

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長万部を出発

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落部駅を過ぎるとガラガラ

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森に到着

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森駅

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森駅前の「柴田商店」

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森駅の名物駅弁「いかめし」

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森駅前

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森町の駅前通り

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(31)

 東室蘭駅では13時45分発の長万部行に乗る。1両編成のディーゼルのワンマンカー。ボックスシートに座り、車窓に広がる内浦湾(太平洋)の海を眺める。

 伊達紋別駅ではかなりの人が乗り、車内はほぼ満員になる。大半の乗客は高校生。伊達紋別を過ぎると、有珠岳が見えてくる。大きな山容。その山並みの右端にはチョコンと盛上がった昭和新山が見える。

 洞爺湖への入口の洞爺駅ではかなりの人が降りた。乗る人はいない。次の内浦駅で大半の人が降り、車内はガラガラになった。さらに大岸駅で降り、その次の礼文駅で全員が降りた。礼文駅を過ぎると乗客は自分一人になった。

 礼文駅から次の小幌駅、その次の静狩駅までは、じつに興味深いところだ。
 列車は「北海道の親不知」ともいわれる礼文華の断崖絶壁の海岸を行く。昔からの交通の難所だ。トンネルが連続し、小幌駅などはトンネルとトンネルの間にある。この礼文華のすぐ北側が中央分水嶺になっている。

 北海道の宗谷岬から九州の佐多岬まで、津軽海峡をまたぎ、関門海峡をまたいで1本の線になってつながっている中央分水嶺は、日本列島を太平洋側と日本海側に二分している(北海道では宗谷岬から三国山まではオホーツク海と日本海を分けている)。

 この中央分水嶺の1本の線は、室蘭本線の礼文駅から静狩駅までの区間は太平洋の海岸線スレスレのところを通っている。

 室蘭本線のすぐ北を国道37号が通っているが、国道は礼文駅に近い礼文華峠までは太平洋世界を走る。礼文華峠のトンネルを抜け出るとそこは日本海に流れ出る朱太川の源流地帯で、日本海世界になる。次に静狩峠を越えるが、峠のトンネルを抜けるとふたたび太平洋世界に戻っていく。

 室蘭本線の線路は日本海側に入ることもなく太平洋側を走り抜けていくが、ここでは太平洋と日本海がつながっているといっても過言でないほど2つの世界は接近している。  東京で例えてみると、東京湾の湾岸からわずか数百メートルの所に上越国境の三国峠が迫っているような状況、それが礼文華だ。

 宗谷岬から佐多岬までの日本列島の中央分水嶺で、礼文華のような区間はほかにない。ここは薄皮1枚で太平洋と日本海が分けられるという、きわめて特異な区間なのである。 それともうひとつ、室蘭本線には中央分水嶺の特異な区間がある。
「岩見沢→苫小牧」で通った「三川→追分」間だ。

 この間で中央分水嶺の峠を越える。とはいってもほぼ平坦な地形で、峠を越えたとは誰も思わないであろう。もちろんそこには峠名はついていない。だがその名無しの峠は北海道を太平洋側と日本海側に二分している。

 室蘭本線の西側を通る千歳線も同様で、千歳駅と南千歳駅の間に中央分水嶺の峠がある。だがそこは平原の風景。新千歳国際空港はその南側、つまり太平洋側になる。

 千歳線の鉄路のすぐ脇を国道36号が通っているが、この峠も名無し峠。どこが峠なのか、多分、わかる人はほとんどいないと思う。北海道のこの一帯はスポーンと抜けたような地形になっている。

 なぜこれほどまでに中央分水嶺にこだわるかというと、「峠のカソリ」にとって、中央分水嶺の峠はほかの峠とは違うからだ。宗谷岬から佐多岬までの中央分水嶺の峠はほぼすべて越えたが、それらはほかの峠と比べて一段も二段も、格が高い。

 バイクで日本各地を走っているとき、ぼくはいつも中央分水嶺を意識している。
 ぼくの持っている大半の地図には赤線が入っているが、その赤線は中央分水嶺の線。
 中央分水嶺を意識すると、日本列島の構造がよくわかるし、日本をよりおもしろくまわれるようになる。

 室蘭本線の1両編成の列車は静狩駅を過ぎると平原をひた走る。一直線に延びる線路。終点の長万部駅の手前では右側から合流する函館本線の列車(2両編成)と一緒になり、2本の列車は同時刻の15時14分、長万部駅に到着した。

 これで「岩見沢→長万部」の室蘭本線の全線完乗、達成だ。

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長万部行の列車

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稀府駅

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伊達紋別駅

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有珠岳が見える。右端には昭和新山

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大岸駅

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礼文駅

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静狩の町並み

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函館本線の列車

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長万部駅に到着

テーマ : 鉄道の旅
ジャンル : 旅行

「青春18きっぷ2010」(30)

第4日目(旭川→函館・その4)

 苫小牧の町歩きを終え、苫小牧駅に戻ると3番ホームへ。室蘭本線の苫小牧始発、12時30分発の東室蘭行が入線。3両編成の電車だ。

 定刻通りに苫小牧駅を出ると、王子製紙の苫小牧工場の前を通っていく。
 天気は変り、薄日が差してくる。日の光を浴びて、一面に鉛色の雲の垂れ込めた太平洋の一角が光っている。幻想的な眺めだ。
 このあたりに雪はまったくない。苫小牧周辺は北海道でも一、二の、雪の降らないところなのだという。

 国道36号が室蘭本線と併走している。車窓からくいいるようにして車の流れを見る。「いつもは逆なのに」
 国道36号はバイクでの「北海道一周」では必ず通るルート。いつもは国道から鉄路を見ていたが、それが今回は逆に鉄路から国道を見る。何か、不思議な気がした。

 12時53分、白老着。「苫小牧―白老」間は日本最長の鉄道直線区間だ。
 白老を過ぎると次の次が北吉原駅。

 北吉原を過ぎると、右手には日本製紙の白老工場が見えてくる。ここはかつての大昭和製紙の主力工場。2001年に日本製紙と大昭和製紙が合併し、日本製紙の白老工場になった。

 大昭和製紙の白老工場の完成は1960年。その5年後の1965年に大昭和製紙が全額を出して北吉原駅が完成した。大昭和製紙創業の地、吉原(静岡県富士市)にちなんでの北吉原駅。開業当初は各駅停車でも通過する列車があったという。今では普通列車(といっても本数は少ないが)は、すべて北吉原駅に停車している。
 ところで本家本元の東海道本線の吉原駅は「よしわら」だが、室蘭本線の北吉原駅は「よしはら」になる。

 北吉原駅の次が竹浦駅。
 この竹浦駅から次の虎杖浜駅にかけての国道36号沿いには、白老臨海温泉から虎杖浜温泉へと温泉がつづく。温泉宿や温泉銭湯、温泉つき食堂など何軒もの温泉施設が国道沿いに点在している。あまり知られていないが、ここは北海道有数の温泉地帯なのだ。

 虎杖浜駅の次が登別駅。登別温泉は駅から遠い。
 13時32分、終点の東室蘭に到着。室蘭本線はここまでが電化されている。この先、長万部まではディーゼルになる。

 東室蘭駅では2番線に到着したが、反対側の3番線には室蘭発札幌行の特急「すずらん5号」が停車していた。それを見ると、室蘭へと想いが飛んでいく。

「東室蘭―室蘭」間の室蘭本線の支線はここで分岐している。時間があれば室蘭まで行ってみたいところだが…。室蘭駅とその周辺は、ぷらぷら歩きにはけっこう楽しい所。重工業都市のイメージの強い室蘭だが、苫小牧とは違ってここには古い町並みが残っている。旧室蘭駅の駅舎も残っている。

 これはバイク旅での話になるが、室蘭駅前を出発点にし、絵鞆岬から地球岬へのルートは北海道有数の絶景ルート。ぼくの大好きなルートだ。

 すぐ近くに室蘭という都市があるのが信じられないような絶景の連続で、太平洋に落ちる断崖絶壁は目がくらまんばかり。伝説の巨岩、奇岩も数多くある。
 みなさん、室蘭はオススメですよ!

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東室蘭行が入線

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王子製紙の苫小牧工場前を通る

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薄日が差してくる

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日本製紙の白老工場

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竹浦駅

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雪解けの国道36号

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東室蘭に到着

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東室蘭までは電化されている

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室蘭発札幌行の特急「すずらん5号」(左)

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