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六大陸周遊1973-74 [完全版] 008

帆船の旅

 スンバワ島東部の町、サペの警察でひと晩、泊めてもらったが、翌朝、目を覚ますとすぐにデビッドに手鏡を借り、目のまわりの傷をみる。よかった。昨日よりは、ひどくはなっていない。痛みも薄らいできている。
 シュラフから這い出ると、ぼくたちは食料を手にいれるためにパサール(市場)に行った。そこでバナナなどを買った。エリッヒはまたしても怒鳴り出した。そしてバナナを売っている露店のおばちゃんたちに向かって叫んだ。
「高すぎる。俺をだまそうとしているんだろう」
 ついに日独開戦だ。ぼくは完全に頭にきた。
「おい、エリッヒ、いいかげんにしろよ。高かったら買わなければいいだろう。ドイツにいるときも、いつもこうやって怒鳴りながら買っているのか。あんたは、いったい、何のために旅に出たんだ。こんなに会う人ごとに怒鳴っているんなら、さっさとドイツに帰ればいいだろ」
 ぼくもデビッドも、ここではっきりとエリッヒに言った。
「もう、あんたとは一緒に旅を続けたくない」
 エリッヒは「ラブハンバジョまで一緒に行こう。そこで別れる」と言った。
 スンバワ島のサペ港から隣のフローレス島のラブハンバジョ港まで行くのは簡単なことではない。船便はきわめて少ない。それも動力船ではなく、帆船だとサペの町の人たちに言われていた。そのために、インドネシア語をほとんど話せないエリッヒは、すでにかなりのカタコト語を話せるようになっていたぼくに頼って、とにかくフローレス島に渡ろうとしたのだ。何ともずるいヤツだ。日独開戦をしても、ちゃんと計算だけはしている。
 ぼくたちは警察に戻り、警官たちにお礼を言って、サペの町から乗合馬車に揺られてサペ港に向かった。サペ港は魚の匂いで満ちていた。石畳の道の両側には、高床式の家々が立ち並んでいる。造船所もある。そこでは50トンとか170トンというかなり大型の木造船がつくられていた。港には何十隻もの帆船が浮かぶ。ここでは主役がエンジンつきの船ではなく、帆船なのだ。ぼくは一瞬、タイムトリップしたかのような気分になった。
 サペ港では会う人、会う人、すべての人に、「ラブハンバジョに行く船はありますか」と聞いてみた。その結果、ついに「ガディス・コモド号」という船を見つけた。明日の午後1時に出港するだろうという。
 次に、その「ガディス・コモド号」を探す。これがまた、なんとも難しい作業だったが、やっとの思いで帆船の「ガディス・コモド号」にたどりつくことができた。ところがこの船、遊園地のボートをひとまわり大きくした程度のもの。これでほんとうに、フローレス島に渡れるのだろうかと不安になった。しかし今となっては、そんなことも言ってられない。
「ガディス・コモド号」の船長のパダハランさんに会った。
 日焼けした、しわだらけの顔の老人。ほんとうに明日の午後1時に出港するのかどうかを確かめるのが大変だ。
「パダハランさん、ベソ(明日)、ジャム・サト(1時)、シアン(午後)、ペラフー(帆船)ブランカット(出発)?」
 と聞くと、パダハラン老人は「うん、うん」とうなずいて、「ジャム・サト(1時)」と言った。時計も持っていないので、どうして時間がわかるのか、ちょっと不思議な気もしたが、明日の午後1時出港というのは、間違いなさそうだ。
 サペ港には食堂は1軒もない。日は暮れるし、腹は減るし、サペの町まで歩いていくのには遠すぎるし…で、ぼくたちは思案に暮れた。そんなときに、ありがたいことに村人が「ウチに来なさい」といって声をかけてくれた。飯と魚の夕食をいただき、家の片すみにシュラフを敷いて寝かせてもらった。
 翌朝、石を積み上げてつくった簡単な桟橋に行く。置いていかれるのが心配だったので、早めに船に乗せてもらった。乗組員は船長のパダハラン老人のほかに、28歳のミラーと17歳のセイフー、それと14歳のロシディーンの3人だ。彼らはじつに陽気で、楽しいフローレス島への船旅を予感させた。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

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