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六大陸周遊1973-74 [完全版] 019

貨物列車から飛び降りる

 キングーニャは小さな町だが、この町には大陸横断のトランス・オーストラリアン鉄道の駅がある。その駅でひと晩、寝ることにした。その日は土曜日で、月曜日になるまでこの駅に停まる旅客列車はない。そのため駅には乗客はもちろんのこと、駅員も1人もいなかった。
 駅舎内のベンチにシュラフを敷いて眠った。久しぶりにぐっすり眠れた。夜中に、西のパース方向からやってきた貨物列車の停まる音で目がさめた。反対方向から来る列車との待ち合わせのようだった。
「ラッキー!」
 ぼくはガバッと飛び起きた。
 シュラフをすばやく丸め、ザックを背負い、その貨物列車に飛び乗った。その列車でポートオーガスタまで行こうとしたのだ。ぼくが飛び乗ったのは乗用車を専門に積む貨車で、上下2段に分かれた空の車両だった。
 シドニー方向から来た貨物列車とすれ違うと、ぼくの乗った貨物列車が動きだす。そのときの「ガシャガシャガシャーン」という連結器と連結器のぶつかり合う音がすごい。
 貨物列車は暗闇の中を相当なスピードで走る。キングーニャからポートオーガスタまでは約350キロ。列車がキングーニャを出発したのは午前1時ごろなので、夜が明けるころにはポートオーガスタに着くだろうという予測を立てた。
 ポートオーガスタまではノンストップで走るであろうと思っていたら、途中のウーメラ駅で貨物列車は停車した。トーチを手にした車掌が見回りにきたが、シュラフにもぐり込んで寝ていたこともあり、逃げる間もなく見つかってしまった。もうジタバタしてもはじまらない。
「どこまで行くつもりなんだ」
「ポートオーガスタまでです」
「いいか、キミは悪いことをしているんだぞ」
「はい、よくわかっています」
「ポートオーガスタに着いたら、ポリスに突き出してやる。金はちゃんと持っているだろうな。料金はポートオーガスタに着いたら払うんだ」
 なんともラッキーなことに、ウーメラ駅では降ろされなかった。
 そのまま貨物列車に乗りつづける。やがて白々と夜が明けてきた。荒野のはるかかなたに町の灯が見えてきた。
「ポートオーガスタだ。間違いない!」
 ぼくは貨車の鉄板の上に敷いたシュラフをクルクルッと丸め、身支度を整える。列車が大分、町に近づいた。すでにすっかりと夜が明け、あたりの風景がはっきりと見えてくる。大きなカーブにさしかかる。列車はガクンとスピードを落とす。
「今だ、今がチャンスだ!」
 ぼくはザックを投げ下ろし、すぐさま列車を飛び降りた。こういうことは、バイクの事故で慣れているのだ。うまく受け身をとることができ、ゴロゴロゴロンと転がり、右足をすこし痛めた程度で無事に立ち上がった。走り過ぎていく貨物列車を敬礼して見送る。車掌さんには何とも申し訳なかったが、「やったゼ!」とガッツポーズをとると、右足を引きずりながらポートオーガスタに向かって歩いた。
 思ったよりも距離があり、2時間ぐらいかかってポートオーガスタの町に着いた。公園の水道で顔を洗い、「フーッ」と、大きく息をつくのだった。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

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