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カソリの峠越え(14):四国編(3)讃岐山脈の峠

 (『月刊オートバイ』1995年6月号 所収)

 四国一周の峠越え第3弾は、讃岐山脈の峠だ。
 讃岐山脈というのは、香川・徳島両県の境の山脈。阿波(徳島県)と讃岐(香川県)の境なので、阿讃山脈ともいわれる。
 東西に長く連なる山脈で全体になだらかな山容。
 最高峰は山脈中央部の竜王山(1060m)。山脈の南側を四国第一の大河、吉野川が流れ、山脈の北側には讃岐平野が広がっている。
 比較的、越えやすい山脈なので、昔から何本もの峠道が開けていた。
 吉野川河口の徳島を出発点にし、それら讃岐山脈の峠を徳島県から香川県へ、香川県からまた徳島県へと次々に峠を越えていった。

眉山に登る
 讃岐山脈の峠越えの出発点は徳島。JR徳島駅前に峠越えの相棒のスズキDJEBEL200を止める。駅前のワシントンヤシの並木が“南国・四国”を感じさせる。
 さー、出発だ。DJEBELのセル一発、エンジンを始動させ、走りだす。
 まず最初は、眉山に向かう。
 眉山というのは、徳島の背後にそびえる山で、山頂周辺は眉山公園になっている。
 タイトなコーナーの連続する眉山パークウェーを走り、標高280メートルの眉山山頂に立った。
 眉山は大展望台。蜂須賀氏の城下町、徳島の町並みを一望し、その向こうには、ゆうゆうと流れる四国第一の大河、吉野川を眺める。
 目を反対側に移せば、徳島のすぐ近くまで迫る山並みを眺める。その山並みは幾重にも重なりあって、はるかかなたへとつづいている。

“そばごめ”を食べた!
 眉山を下り、徳島の中心街に戻ると、国道192号を行く。この国道は吉野川の南岸を通っているが、徳島県を東西に横断する幹線だ。
 日が暮れ、夜道を走る。
 鴨島、川島と通り、19時、徳島から30キロの山川に到着。ここが今晩の宿泊地。
 山川は前回の「徳島の峠」で、四国山脈の土須峠を越え、国道193号で下ってきた吉野川の河畔の町だ。
“阿波富士”の高越山東麓にあるふいご温泉の町営「ふいご荘」に泊まる。

 さっそく緑ばん鉄泉の湯に入り、湯から上がると夕食。キューッと飲む湯上がりのビールがうまい!
「ふいご荘」は国道から4、5キロ、山中に入ったところにあるが、なかなかの温泉宿。 公営の温泉宿だけあって、宿泊費が安い。なんと1泊2食で4600円なのだ。それでいて、設備はまあまあ整っている。
 昔から湯治場として使われてきたという温泉だけあって、緑ばん鉄泉の湯がいい。
 さらに食事もいいのだ。名物のアメゴの塩焼き、ワラビやキクラゲなどの山菜・キノコ料理、ゴボウやニンジン、凍豆腐、コンニャク、チクワの入った煮物、ダイコンのなますという食事。土地の匂いを十分に感じさせてくれる夕食だ。

 ご飯は麦(大麦)の入って麦飯。驚いたのは米を大きくしたような粒々の入った汁である。それは“そばがゆ”だった。
 ふつう、そばというのはそばの粒を粉にし、それを麺に打ったものだが、この“そばがゆ”というのは、そばの粒の殻を取りのぞき、粒のままで粥にしたもの。ここではそれを“そばごめ”といっている。
 日本は、今でこそ、米が余ってどうしようもないなどといっているが、ついひと昔前までは、米は不足し貴重なものだった。
 そのため、すこしでも米のご飯に近いものということで、米に麦を混ぜて炊いた麦飯があり、このようなそばごめを炊いたそば粥があった。
「ふいご荘」の夕食では、そんな我々、日本人の伝統的な食事を味わうことができた。
 これも、旅の大きな喜びだ。

第1番目は清水峠
 翌朝は、「ふいご荘」で朝食を食べ、8時、出発。讃岐山脈の峠越えの開始だ。
 これから徳島県と香川県の間を行ったり来たりしながら、讃岐山脈のいくつもの峠を越えていく。と、同時に、峠を越えながら、峠周辺の温泉にも入ろうと思っている。
 山川から国道192号を走り穴吹で右折。国道193号に入り、吉野川にかかる橋を渡る。前方には讃岐山脈の山々が連なっている。この光景がいい!
「あの山並みを越えていくんだ……」
 という、熱い想いがたまらない。
 山々の向こうの世界へのあこがれ、ロマン、それが峠越えなのだ。

 DJEBEL200を走らせ、讃岐山脈の清水峠に向かっていく。ゆるやかな登り。
 山川や穴吹では薄日が射していたが、峠を登るにつれて天気は崩れ、今にも雨が降りそうだ。
 清水峠の手前では、清水温泉「清水温泉センター」(入浴料550円)の湯に入った。 ゆったりと気分よく湯につかれる大浴場。硫化水素泉の湯はやわらかな感触で、肌がスベスベしてくる。
 湯から上がり、つかのまの温泉天国の気分を味わったところで、走り出す。
 清水の集落を通り過ぎ、香川県に入る。讃岐山脈第1番目の清水峠は県境ではなくて、若干、香川県側にズレている。
 讃岐山脈のほぼ中央に位置する清水峠を越えたとたんに雨が降りだした。峠を下るにつれて雨足が速くなった。
 このように、峠を境にして、天気がガラリと変わることはよくあることなのだ。

 清水峠を下った塩江温泉では、「湯元塩江温泉」の湯に入ろうとしたら、入浴のみは10時から。そこで、通りがかりの人に、
「どこか温泉に入らせてくれる宿はありませんかね」と聞くと、その人は「赤松旅館」という温泉宿のご主人だった。ウチの湯に入っていきなさいといわれ、なんと、タダでは入らせてもらった。「赤松旅館」は食堂もやっているので、湯から上がると、讃岐名物の讃岐うどんを食べた。
 国道192号で高松へ。
 雨は本降りになる。降られっぱなしで高松に到着。
 JR高松駅前に、DJEBEL200ともども立った。

讃岐山脈東部の峠越え
 高松は鉄道、道路の四国交通網の中心地。JR高松駅前の道路標識には、気持ちがそそられる。
“松山160キロ 高知144キロ 徳島75キロ”。
 それを見て、よけいに、
「よーし、四国中を走りまわってやろう!」という気分になってくる。
 高松から徳島方向へ、国道11号を行く。土砂降りの雨。志度を過ぎると、天野峠を越える。峠を下っていくと瀬戸内海が見えてくる。
 津田、大内、白鳥と瀬戸内海沿岸の町々を通り、徳島との県境の町、引田へ。
 そこで国道11号を右折し、県道で大坂峠を登っていく。道幅は狭く、急カーブが連続する。交通量は少ない。登るにつれて、雨に霞む瀬戸内海を見下ろすようになる。
 今でこそ忘れられたかのような静かな大坂峠だが、かつては讃岐と阿波を結ぶ重要な交通路。昔の国道11号のようなものだ。
 峠を境にして讃岐側の道は阿波街道と呼ばれ、阿波側の道は讃岐街道と呼ばれていた。

 県境の大坂峠を越え、展望台に立ち、徳島側に下っていくと、やっと雨は上がった。
 大坂峠を下ると、讃岐山脈山麓の広域農道を走る。山の斜面は、収穫の終わった柿園。柿の木には、いまにもポトンと落ちそうなまっ赤に熟れた実が残っている。
 熟柿はぼくの大好物。
「失敬!」
 と、謝って、熟柿を2、3個もらう。
「うめー!」
 口のまわりをグジャグシャにして、さらに3、4個もらった。ごちそうさま!

 国道318号に出ると、鵜峠に向かっていく。峠の手前で御所温泉「御所温泉観光ホテル」(入浴料500円)の湯に入る。総ガラス張りの展望大浴場の湯につかりながら、峠周辺の紅葉を楽しんだ。
 季節は12月中旬だというのに、四国の山々ではまだ紅葉の盛りだった。
「日本は広いなあー!」
 と、実感する。
 10月の中旬には北海道を走った。ちょうど紅葉のまっ最中だった。10月下旬には東北を走った。東北も紅葉の最中だった。11月中旬には関東・中部の山岳地帯を走った。やはり紅葉の最中だった。そして12月中旬の四国も紅葉の最中。2カ月かけて、北海道から四国へと紅葉を追いかけてきたようなものだ。

 鵜峠は全長1769メートルの鵜ノ田尾トンネルで貫かれている。トンネルを抜け出るとそこは香川県だ。
 峠を下ったところで国道318号を右折し、今度は中尾峠に向かっていく。その途中で白鳥温泉(入浴料410円)に入り、ゆるやかな中尾峠を越え、徳島県側を下っていく。 もう1湯、讃岐山脈山麓の土柱休養村温泉(入浴料500円)の湯に入り、吉野川を渡り、山川町の国道192号に戻ってきた。ここまでが、讃岐山脈東部の峠越えで、讃岐山脈の峠越えの前半戦終了といったところだ。

讃岐山脈西部の峠越え
 国道沿いのコンビニでアンパンを買い、缶紅茶を飲みながら食べ、山川町を出発。
 讃岐山脈の峠越えの後半戦の開始。讃岐山脈西部の峠を越えるのだ。
 国道192号を走る。穴吹を通り過ぎ、貞光町に入ったところで国道を右折。吉野川にかかる美馬中央橋を渡り、美馬町に入り、県道で相栗峠に向っていく。
 峠下の美馬温泉(入浴料300円)に立ち寄り、相栗峠へ。山国日本を象徴するかのような風景で、峠近くまで畑が見られ、民家が見られた。

 相栗峠を越える。
 香川県側を下ったところで、奥ノ湯温泉の温泉浴場に入る。こうして讃岐山脈の峠周辺の温泉には、徹底的に入りまくったのだ。
 相栗峠をさらに下っていくと、国道193号の塩江温泉近くに出る。
 そこを折り返し地点にし、来た道を引き返す。もう一度、相栗峠を越え、国道192号に戻った。
 国道192号で半田、三加茂と通り、井川町に入ったところで国道を右折。三好町から県道で東山峠に向かっていく。幅の狭い峠道。車1台がやっと通れるくらいの道幅だ。交通量はきわめて少ない。落ち葉がじゅうたんのように敷きつめられている。

 日が暮れる。夜の峠道を走る。大光量ライトのDJEBEL200なので助かる。
 夜の峠道というのは、あまり気持ちのいいものではないので、徳島・香川県境の東山峠に到着したときは救われたような気分で、ホッとした。
 東山峠を越えて香川県側に入り、“こんぴらさん”の琴平へと下っていく。
 せっかく琴平に来たのだからと、“こんぴら参り”をする。DJEBELを止め、みやげもの屋が並ぶ門前の石段を登り、大門をくぐり抜けて境内に入る。すでに参拝者の人影もなく、なんとはなしに不気味な感じだ。
 息を切らし、汗をかき、全部で1368段の石段を登りきり、金刀比羅宮の拝殿で手を合わせる。そのあとで展望台に立ち、讃岐平野の夜景を一望した。

 琴平からは国道32号を行く。国道沿いの食堂で焼肉定食の夕食を食べ、パワーをつけ、猪ノ鼻峠に向かっていく。
 猪ノ鼻峠は昔も今も、讃岐(香川県)と阿波(徳島県)を結ぶ重要な交通路。峠はトンネルで貫かれている。国道32号と並行して走るJR土讃線もこの峠をトンネルで抜けている。 
 猪ノ鼻峠のトンネルを走り抜け、徳島県に入り、峠道を下っていくときが印象的。パーッと目の中に、帯状につづく吉野川沿いの町明かりが、飛び込んでくるのだ。まわりが漆黒の山々なので、町明かりがよけいに鮮やかに、まぶしいくらいに見える。

 20時、池田に到着。吉野川が山地から平地へと抜け出たところに位置する町。今晩の宿は、池田にほど近い白地温泉。国道32号沿いの、一軒宿の温泉だ。
 宿に着いたときには、1日、目いっぱい走った疲れがドッと出て、クタクタ。温泉に入り、ビールを1本飲むと、バタンキュー状態で泥沼のように深い眠りに落ちていった。
 翌朝は、国道192号で徳島県と愛媛県の境の境目峠を越える。このあたりが、讃岐山脈の西端になる。
 愛媛県側に入ると、一気に瀬戸内海に面した川之江へと下っていった。川之江は製紙の町。製紙工場特有の臭いがたちこめている。
 川之江の国道11号との交差点を折り返し地点にし、来た道を引き返し、もう一度、境目峠を越える。そして、池田まで行き、讃岐山脈の峠越えのゴールとした。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

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