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『極限の旅』(山と渓谷社、1973年)その4

 夜が明ける。目をさますと汽車はインダス川流域の平原から、スレイマン山脈の岩山地帯に入っていた。山々に緑はほとんど見られない。前の日の暑さがまるでうそのようにひんやりとしていた。汽車は苦しそうに汽笛を鳴らし、涸れたボラン川に沿ってゆっくり、ゆっくり、峠を登っていく。
 国境の町チャーマン。
「あのへんはアフガニスタンだよ」地平線の一角を指さしながら、汽車で一緒に坐っている人がそう言った。
 ほこりっぽいうすよごれた砂漠に近いこの町、通りを歩いていると、スイカやメロン、ぶどうの甘いかおりがそこはかとなく漂ってくる。
 私は我慢できずに、七五パイサ(二五円)の大きなスイカを買った。乾燥度が著しいので気化熱が大きく、買ったスイカを冷やす必要はない。割ってそのまま食べるだけで、ひんやりとした、なんともいえない舌ざわりを味わうことができる。
 だが、すぐさま激しい下痢、私はいささかあきらめ気味だった。もう、どうにでもなれ、といったすてばちな気持ちになる。下痢がはじまってから、すでに十日たっていた。
 バルチスタン地方の中心地クウェッタには、アフガニスタン国境一帯を警備する軍隊が続々と集結していた。風雲急を告げる印パ国境へ移動するのであろう。このところ毎日のように、この町からパンジャブ地方へ、軍専用列車が出ているとのこと。きょうも、数十台の軍用トラックとジープを積んだ貨物列車がラホールに向かっていった。
 私はバルチスタンの山々を越え、クズダール、ベラ経由のルートで、カラチに出ようと思った。しかし、その途中にはひどい山道があるそうで、何日ぐらいかかるのか、また、ほんとうにカラチまでバスに乗っていけるのか、いろいろな人たちに聞いてみたが、はっきりとした答を得ることはできなかった。でも道はあるのだ。道があれば必ず交通手段はあるはず。
 市場近くの広場からバスに乗った。ひと筋の舗装道路がバルチスタン砂漠のなかにはてしなく延びる。この辺の岩山はおもしろく、平原にぼこん、ぼこんと積み木を積むようにのっていた。山と平原の境い目は線を引いたようにはっきりしている。


テーマ : 海外旅行記
ジャンル : 旅行

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