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秘湯めぐりの峠越え:第14回 狩勝峠編

 (『アウトライダー』1995年5月号 所収)

旭岳から十勝岳へ
「大雪山一周」の出発点、帯広が十勝平野の「平原の都市」だとすると、中間点の旭川は上川盆地の「盆地の都市」。上川盆地の中心地になっている。
「大雪山一周」の後半戦、「旭川→帯広」の開始だ。うれしいことに、天気は急速に回復し、青空がひろがっている。

 旭川から大雪山の主峰、旭岳(2290m)に向かって、一直線に走る。
 ズラズラッと連なった、雪をかぶった大雪山系の峰々を正面に眺めながら走る。
 いい気になってRMX250Sのアクセルを開いたところで、バックミラーにパトカーを発見。危うし、危うし‥‥。アクセルをグーッと戻し、間一髪のところでセーフ!
 いつものことだが、カソリ、バックミラーでのチェックには抜かりがない。

 平地から山地に入り、分岐点を左へ。旭岳を登っていく。エゾシカの群れが、道路を横切っていく。
 旭岳ロープウェーの出る海抜1050メートルの地点に、旭岳温泉がある。何軒かの温泉宿のうち、“湯元”の看板のかかる「勇駒荘」(入浴料500円)の湯に入る。この湯元の宿というのは、“立ち寄り湯”のねらいめで、ぼくの経験からいうと、入浴させてもらいやすい。入浴料もそれほど高くないし、宿の歴史、温泉地の歴史を感じさせてくれるし、湯もいいしと、いいことずくめなのである。
「勇駒荘」の湯も、いい湯だった。ここの源泉は4カ所にあり、各浴槽の泉質は、硫酸塩泉、石膏泉、炭酸水素泉、緑ばん泉と、それぞれに違う。そんな泉質の違う湯船にひとつずつ入ってみた。

 旭岳温泉から、さきほどの山麓の分岐点まで下り、今度は右へ、天人峡温泉へと行く。
 忠別川上流の天人峡にある天人峡温泉は、旭岳南麓の海抜750メートル地点にある温泉。旭岳温泉よりは、かなり低くなる。天人峡のそそり立つ岩壁の、赤や黄色の紅葉が色鮮やかだ。温泉の近くには、北海道でも最大級の滝、羽衣滝がある。
 ここでは、高層温泉ホテルの「天人閣」(入浴料700円)の大浴場と露天風呂に入ったが、リッチな気分を味わえる湯だ。

 旭岳温泉と天人峡温泉の、大雪山の温泉、2湯に入り、大雪山中から美瑛の町へと下っていく。
 美瑛からは、旭川から旭岳に向かっていったのと同じように、一直線に十勝岳連峰に向かって走る。主峰の十勝岳(2077m)は、雲の中だった。

 シラカバ並木がつづく“白樺街道”を走り抜けたところにある白金温泉では、町営温泉の「白樺荘」が工事のため休館中。隣あった「銀瑛荘」(入浴料500円)の湯に入り、十勝岳を登っていく。展望台の“望岳台”で十勝岳を眺めたが、残念ながら、中腹より上は雲の中だった。
 十勝岳中腹の山道を走り、十勝岳温泉へ。
 夕暮れが迫ってくる。はるか遠くには、旭川の灯りはじめた町明かりが見える。途中、吹上温泉に寄ったが、無料湯の露天風呂は工事中で入れなかった。

 十勝岳温泉では、国民宿舎「カミホロ荘」で泊まった。
 まるでぼくを出迎えてくれたかのように、玄関の前には、キタキツネがいた。温泉地の国民宿舎というのは人気が高く、かなり前から予約を入れておかないと泊まれないことが多いが、平日だと、飛び込み同然で泊まれることもある。ぼくは美瑛の町から電話したのだが、宿泊OKだった。

 暖房のきいた部屋に荷物を置くと、浴衣に着替え、すぐさま湯に入る。内風呂も露天風呂もよかったが、もっとよかったのは、さりげなく女湯をのぞけるポイントがあったこと。カソリ、じつにめざといのだ。いい思いをしましたよ。
 湯から上がると、食堂で夕食。キタキツネが窓のすぐわきまで寄ってきて、ぼくが食べるのをじっと見ている。天気が崩れ、雪がチラチラ降ってくる。
 十勝岳温泉は、海抜1280メートル地点にある、北海道では大雪高原温泉に次ぐ高所の温泉だ。

深山峠をめぐる変化
 翌日は、秋晴れの上天気。十勝岳温泉から見下ろす紅葉がまぶしい。前日と同じルートをたどって美瑛に戻ったが、その途中の“望岳台”からは、あますところなく、十勝岳の姿を眺めた。
 美瑛からは、国道237号で富良野に向かう。
 美瑛の町を出るとすぐにゆるやかな登り坂になり、美瑛町と上富良野町の町境の美馬牛峠に到着。石狩川本流沿いの上川盆地と、支流の空知川沿いの富良野盆地を分ける峠。

 ゆるやかな峠。高速で突っ走ってしまうと、どこが峠なのか、気がつかないうちに越えてしまうくらいのなだらかさ。
 峠のま上に民家があり、「純平」というとんかつ屋があり、畑や牧場があり、JR富良野線の美馬牛駅も峠のすぐ近くにある。足元を1両の気動車が富良野方向に通り過ぎていく。ゆるく波うつ丘陵の向こうには、十勝岳を中心とする十勝岳連峰の山々が連なっている。いかにも北海道らしいスケールの大きな風景だ。

 上富良野町に入ると、そこは“ラベンダーの里”。国道沿いに、紫色の花畑を発見!
「おー、ラベンダーだ! この季節でも、ラベンダーが咲くことがあるんだ」
 と、感激してRMXを止めたが、よく見るとラベンダーではない。花畑で作業している人に聞くと、それは“紫サルビア”なのだという。

 美馬牛峠にひきつづいて、深山峠を越えるが、この深山峠には、心底、驚かされてしまった。
 ぼくが初めて深山峠を越えたのは、1970年代のことだった。そのときも、今回と同じように美瑛から美馬牛峠をこえ、深山峠を越えたのだ。当時は、峠には何もなかった。ただ、“深山峠”と書かれた木標が寂しげに立っているだけだった。交通量も少なく、エゾシカが国道に飛び出し、ピョーン、ピョーンと跳ね飛んでいった。

 それが今(1994年)ではどうだろう、峠全体が洒落た公園風になり、十勝岳連峰を眺める展望台ができ、トリックアートの美術館ができ、アイスクリームの工房ができ、今風のみやげもの店が峠の国道沿いに建ち並んでいる。この深山峠をめぐる変化は、ラベンダー人気によるもの。それだから深山峠は、“ラベンダー峠”といってもいいほどなのである。

 深山峠周辺のゆるやかな山の斜面は、一面のラベンダー畑になっている。7月上旬から咲きはじめるラベンダーの花を見に、大勢の人たちがやってくる。花は7月20日ごろが盛りで、8月上旬まで見られ、それに合わせて上富良野町では毎年ラベンダー祭りがおこなわれている。そんな“ラベンダー峠”の深山峠を越え、富良野盆地の中心、富良野へと下っていった。

樹海峠から狩勝峠へ
 富良野の町では、富良野小学校の校庭に建つ“北海道中心標”を見る。我らライダーは“最果ての地”とか、その反対の“へその地”にたいして、異常なくらいの執着を持つ人種なのである。
 それだからぼくも、“北海道のへそ”は、どうしても見ておきたかったのだ。

 地図を見てもわかるとおり、富良野はほぼ北海道の中心に位置し、中央経緯度観測標があるところから、いつしかこの地が“北海道のへそ”といわれるようになった。
 7月下旬の「北海へそ祭り」は有名で、腹に描いた顔がユーモラスに動く図腹踊りが祭りの名物だ。

 富良野から国道38号で狩勝峠に向かっていく。
 まず、富良野市と南富良野町の境になっている樹海峠をこえる。峠からの眺望は抜群。はてしなく広がる原生林の向こうには、十勝岳連峰の山々が見える。美馬牛峠・深山峠で西側から眺めたその山並みを今度は、南側から眺めているのだ。

 樹海峠を下った南富良野町の幾寅から、いよいよ狩勝峠を登っていく。タイトなコーナーが連続する本州の峠道とは違い、ストレート区間が長く、ルーズなコーナーの峠道。狩勝峠は北海道の典型的な峠道で、高速で走れる。
 石狩と十勝の境、標高726メートルの狩勝峠に到着。“峠の茶屋風”ドライブインがある。十勝側から猛烈な風が吹きつけてくる。冷たい烈風に縮みあがりながら、展望台に立つと、はるかかなたには茫々とした十勝の大平原が広がっている。狩勝峠は平原を見下せる峠なのだ。

十勝の温泉を駆けめぐる
 狩勝峠を下った十勝平野入口の町、新得からは、「大雪山一周」の最後のステージ。
 十勝の温泉めぐりの開始だ。
 第1湯目は、新得の町外れにある新得温泉。一軒宿「新得温泉ホテル」(入浴料300円)の湯に入る。次に、十勝川沿いに上流へと走り、第2湯目のオソウシ温泉に向かう。舗装路を外れ、ダートを5キロほど走るとオソウシ温泉に着く。

 一軒宿「鹿乃湯荘」(入浴料400円)の湯に入ったのだが、ここではビックリ‥‥。湯は男女別々になっているが、なんと浴室のガラス戸をガラリとあけると、若いカップルが入っているではないか。女性は驚き、あわてふためき、男湯と女湯の境のドアから女湯の方へ、逃げるようにして戻っていった。
「いやー、いいんですよ。どうぞ、どうぞ。気にしないで入っていて下さい」
 などと声をかける間もないほどだったが、さすがにカソリ、このようなときでも、沈着冷静に、しっかりと見るべきところは見てやった。我ながら、たいした能力だと思う。

 さらに十勝川をさかのぼり、第3湯目の、最奥のトムラウシ温泉へ。
 途中の展望台からは、美馬牛峠&深山峠とは反対側の、東側から十勝岳連峰の山々を眺めた。
 かつては北海道屈指の秘湯といわれたトムラウシ温泉だが、舗装路が延び、一軒宿の国民宿舎「東大雪荘」(入浴料350円)はすっかり新しい建物に建て替わり、広い駐車場を車が埋めつくし‥‥で、かつての秘湯の面影は、今はない。つづいて、ヌプントムラウシ林道で、川原に露天風呂があるヌプントムラウシ温泉に向かったが、すでに林道は冬期閉鎖中で、すり抜けもできない頑丈なゲートが下りていた。

 いったん新得に戻り、食堂で腹ごしらえ。
「さあ、十勝の温泉の後半戦だ」
 と、気合一発、新得町から鹿追町に入り、第4湯目の菅野温泉に向かう。然別峡の秘湯だ。ここでは一軒宿の「菅野温泉」(入浴料500円)の湯に入った。7種類もの源泉が湧く、北海道でも屈指の、人気の高い湯治宿。大浴場は混浴。みんなで入れば怖くないとばかりに大浴場を占領しているオバチャングループに、すっかり圧倒された。そのほかに女性用の中浴場、家族風呂の小浴場、それと混浴の露天風呂がある。
 ここではさらに、然別峡キャンプ場内にある無料湯の露天風呂「鹿の湯」にも入った。目の前を流れる渓流との一体感がたまらない。

 シラカバ林の白樺峠を越え、然別湖畔の然別湖畔温泉へ。
 だが、ここの温泉ホテルは入浴のみは不可‥‥。つづいて、同じく然別湖畔の山田温泉に行ったが、すでに一軒宿の「山田温泉」は冬期休業中だった。
 幌鹿峠を越え、糠平温泉へ。
 あの「大雪山一周」の第1湯目、「湯元館」の湯にもう一度入り、体を暖め、帯広に戻った。
「旭川→帯広」の574キロでは、全部で9湯の温泉に入った。

テーマ : ツーリング
ジャンル : 車・バイク

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